夫婦で話せている? 「わが家のスクリーンタイム」から見直す家族の時間

情報を正しく読み取り、活用する力「メディアリテラシー」。さまざまなデジタルメディアが身近にある今、大人だけでなく、子どものうちから少しずつ育てていきたい力です。
このコラムでは日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花さんが、「メディア」との上手な付き合い方について教えてくれます。今回のテーマは「家族で考える、デジタルオフライン」についてです。
こども園の講演会でも大反響!「夫婦で意見が合わない」問題
「自分は時間を決めて見せたいけれど、パートナーは子どもに自由に動画を見せてしまう…」「子どもにゲームをやらせてもよいかどうかの判断が夫婦で違っている…」。こども園、保育園、幼稚園などで講演をさせていただく際、保護者の皆さんから最も多く寄せられるのが、こうした「夫婦間でのデジタルとの付き合い方の温度感のズレ」です。
子どもへのルールについてどうするかを議論する前に、夫婦で「スマホとの付き合い方」について意見が食い違ってしまい、家庭内の雰囲気が悪くなってしまう——。そんな悩みを抱えているご家庭は、決して珍しくありません。
ステップ1:まずは夫婦で「スクリーンタイム」を見せ合ってみよう
子どもに「スマホばかり見ないの!」と注意する前に、まずは親自身がどれくらい画面を見ているか、お互いに可視化してみることから始めてみませんか?
ここで役に立つのが、スマホに搭載されている管理機能です。iPhoneでは「スクリーンタイム」、Androidでは「Digital Wellbeing(デジタル・ウェルビーイング)」という機能が使えます。これらは単に利用時間を測るだけでなく、テクノロジーと健全に付き合い、心身の健康を保つために役立ちます。自分が1日に何時間スマホを開き、どのアプリに時間を使っているかがグラフで一目で分かるようになります。
ぜひ一度、夫婦でこの画面を見せ合ってみてください。「無意識にSNSを1時間も見ていたな」「意外とゲームに時間を使っていたかも」と、お互いの傾向が見えてくるはずです。
大切なのは、責め合うことではありません。「自分たちが子どもと一緒にいるとき、画面を見ながら話していないか?」を客観的にチェックすることです。親がいつも画面を見ながら適当に返事をしていると、将来子どもがスマホを持ったとき、どんなに正しいことを言っても言葉の説得力がなくなってしまいます。
ステップ2:食事中や会話の時間…「触らないルール」を家族で作る
自分の使用傾向が分かったら、次は家庭内での「デジタルオフラインの時間」を決めましょう。
「リビングではスマホ禁止」といった極端なルールではなく、「食事中の30分間はスマホをテーブルに置かない」「子どもが話しかけてきたときは一度画面を伏せる」といった、行動ベースの小さな約束で十分です。家族の中で「この時間は目の前の会話を大切にしよう」という共通の意思を持つことが、デジタルに振り回されない家庭環境づくりの第一歩になります。
長期休みの思い出を「会話」でいっぱいにしよう
夏休みやこれからやってくる秋のシルバーウィークは、旅行や実家への帰省など、家族で過ごす時間が増える絶好の機会です。しかし、せっかくの移動中や旅先の宿で、全員がそれぞれスマホやタブレットの画面に夢中になり、会話がほとんどない……というのは、少し寂しいですよね。
長期休みだからこそ、大人が意識して「画面から離れ、目を合わせて話す時間」をつくり出してみましょう。「今日の車窓から何が見えるかな?」「おじいちゃんのおうちに着いたら何をして遊ぶ?」など、画面の向こう側の世界ではなく、目の前にある現実の体験や会話に意識を向ける工夫が大切です。

まとめ
これから子どもたちが生きていくAI時代は、画面の中に魅力的で便利な情報があふれ返ります。だからこそ幼少期に、「画面を閉じて、目の前の人と目を合わせてコミュニケーションをとる心地よさ」を家庭で体験しておくことが何よりの財産になります。
ナビゲーター
担当カテゴリー
ITデジタル
日本メディアリテラシー協会代表 寺島絵里花
一般社団法人日本メディアリテラシー協会 代表理事。高校時代に留学したカナダでメディアリテラシー教育に出合い、興味を持つ。上智大学文学部新聞学科卒業、ペンシルバニア大学留学。結婚、出産を経て、一般社団法人日本メディアリテラシー協会を立ち上げる。主な業務は、メディアリテラシー教育の普及を目的とする、保護者、教員、行政、民間企業などが対象のワークショップや研修、講演、出前授業など。
当協会立ち上げ後に東京学芸大学大学院教育支援協働実践開発専攻AI教育プログラム卒業。上海師範大学、北京師範大学での関連プログラム修了。2024年現在、JASSO 日本政府中国政府奨学金生(博士課程後期)として、華東師範大学大学院国際比較教育研究所所属。
メディアリテラシーに関する幅広い知見に加え、3児の子育てや日々の生活を発信するメールマガジンやブログが好評を博している。


























