監視を卒業! 子どもを伸ばす宿題の付き合い方は「見守り」がポイント

夏休みに出された大量の宿題。声をかけて促すと、嫌がられて雰囲気が悪くなることがありますよね。今回は、スクールカウンセラー、発達凸凹コンサルタントの立場から、宿題にうまく付き合う「見守り方」のポイントをお伝えします。
「見守る」って意外と大変
長期休みに出されたたくさんの宿題。付き添って見ていると、つい声をかけたくなることがありますよね。良かれと思って促しの言葉やアドバイスを伝えているのに、「子どもが真剣に聞いてくれません」という相談をいただくことがあります。
また、声をかけてもなかなか集中できない我が子の姿にイライラし、「宿題の時間が、親子にとって苦しい時間になっています」という思いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、親子関係をギスギスさせない見守り方のポイントをお伝えします。
監視役からサポーターへのシフト
宿題に集中できていない我が子に声をかけることは、よくあることだと思いますが、その状況を自分に置き換えて、想像してもらいたいと思います。
あなたが目の前にある課題に集中したいとき、細かなことまで口を出す人がぴったりと横に座っていたら、どんな気分でしょうか。まるで、監視されているようですよね。取り組もうとしているのに「まだ始めてないの?」なんて声をかけられたら、やる気を削がれます。できていないことを指摘されるたびに萎縮してしまい、「わからない」ということすら言いづらくなりそうですよね。
では、どんな人がそばにいてくれたらよいかというと、頑張りを認めてくれる「サポーター」のような存在ではないでしょうか。取り組む姿を認め、前向きな言葉をかけてくれる人がいたら「頑張ろう」とやる気が出てきます。これまで宿題の見守り方が「監視するようになっていたな」と感じた方は、ぜひとも「サポーター」にシフトチェンジしてもらいたいと思います。
最初の5分が鍵
サポーターになるといっても、具体的な見守り方がイメージしづらいですよね。まず取り組んでもらいたい方法は、最初の5分間を目安に見守ることです。一切口出しをせず、ただ隣に座っているだけでOKです。
「え、そんなことでいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、声をかけすぎてしまうと、かえって子どもの集中を妨げてしまう可能性があるのです。あれこれと言葉をかけるよりも、親が落ち着いた態度で隣に座っている方が、子どもに安心感を与えます。その安心感が、子どもが自分で取り組もうとする力につながっていきます。
初めのうちは、スムーズに取り組めない子どもの姿にヤキモキするかもしれませんが、声をかけたくなったときは「5分間、見守ろう」と思い出して深呼吸することをおすすめします。
見守った後の対応
5分ほど見守った後の対応についてお伝えします。まずは質問されるまで見守り、困っている様子があれば『手伝おうか?』と確認します。ただし、あれこれ口出しするのはNGです。それでは、監視役のままですよね。
つまり、先手を打って声をかけるのではなく、求められたときに、そっとヒントやアドバイスを伝えられるとよいでしょう。アドバイスと言っても、全て言葉で伝える必要はありません。指さしや具体物で示す方法もおすすめです。
見守り方のアイデア
ここからは、見守り方のアイデアをいくつか紹介します。お子さんに合う方法を想像しながら読んでいただけたら嬉しいです。
一緒に作業する
子どもが勉強する隣で、自分の仕事や読書を楽しみましょう。「勉強しなさい」と伝えるよりも、親の集中している姿を手本として見せます。「隣で一緒に作業をしているから、わからないときは声をかけてね」と伝えることで、子どもは「いつでも聞いていいんだ」と安心して取り組むことができます。
実況中継する
子どもが宿題に取り組む姿を実況中継のように伝える方法です。なぜ実況中継かというと、褒めるところを探す必要がないからです。「褒めよう」と思うと、「褒めるところ」が見つかるまで待ってしまいますよね。たとえば、問題に正解するとか、きれいに字が書けるなどです。
しかし、待っていたのに、子どもが答えを間違えていたら褒めづらいですよね。一方、実況中継は子どもの行動をそのまま言葉にします。「正解した」「きれいに書けた」といった結果ではなく、取り組んでいる姿そのものに目を向けるとよいです。
「お! 書き始めたね」
「ここまで進んだね」
「次のページを開いたね」
このように、結果ではなく取り組む姿に目を向けることで、子どもは「ちゃんと見てもらえている」と感じやすくなります。こうした声かけが、子どもの「やる気スイッチ」を押すことにもつながります。
ストーリー仕立てやミッション形式にする
子どもの好きなキャラクターや興味のあることを盛り込み、宿題に取り組みやすくする方法です。算数の問題に取り組むとき、「5個ある“あめ”を3つ食べました」「ケーキを8人で分けるには」など、身近なものが取り入れられていますよね。この「あめ」や「ケーキ」を子どもの好きなものに置き換えて考えてみるだけでもOKです。
さらに、問題を単なる「タスク」として解くのではなく、「ミッション」のように設定することもおすすめです。
子どもに合わせて見守る
お子さんにはどのような見守りスタイルが合うでしょうか。親子一緒に静かに集中する方法が合うタイプがいれば、親に実況中継をしてもらうことで前向きに取り組みやすいタイプ、ストーリー仕立てで楽しみたいタイプなどさまざまだと思います。
今回紹介したアイデアを読みながら「もっとこうしたら、うちの子に合うかも」とよい方法を思いついたら、ぜひ実践してもらいたいと思います。
ナビゲーター
担当カテゴリー
子どもの健康・発達
公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント 西木 めい
大学教育学部(特別教育専攻)卒業。小学校の通常学級の担任を8年、特別支援学校(小学部) の担任を5年、自治体の就学支援委員会(就学相談)の調査員、特別支援教育コーディネーターを経験。
「優秀な同僚の先生たちが、保護者と揉めて心を病んで、どんどん学校を辞めていく現状」を見て、専門職であるスクールカウンセラーになることを決意。現在は、小学校と中学校のスクールカウンセラーとして、親子や先生のカウンセリング、学校内の環境調整のコンサルティング、不登校や登校しぶりの再登校のサポートなどを行う。
一方で、SNSを通じた「発達凸凹支援コンサルタント」として、これまで2300人以上のママ・パパ、先生のお悩み解決コンサルを行いながら、発達凸凹っ子のママや、子どもの不登校・登校しぶりに悩むママに向けたオンライン講座、小学校の保護者100名以上が集まる子育て講演会などを開催。特別支援教育が「教育の一番の根本」であることを啓発している。2児の母。著書に『発達障害のある子を支える担任と保護者の連携ガイド 』(明治図書)がある。


























