堂々とトークができる人と、できない人の違いには法則があった!お笑いのネタ作家しばぴーが教える、発想の転換法

人前に立ったときに、「自分の力をうまく発揮できなかった」経験はないですか?実はその悩みを解消するヒントは、自分の考え方にあるんです。&あんふぁんのコラム『教えてしばぴー!人生が楽しくなる「コミュ力」レッスン』でおなじみのネタ作家、芝山大補さんこと「しばぴー」が、「お笑い脳」の考え方で、あなたのコミュニケーションに変化を起こします!
※この記事は、芝山大補『お笑い脳』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

こんにちは。ネタ作家の芝山大補です。僕はこれまで芸人300組以上にネタを提供してきました。お笑いのネタ作りの他にも、養成所の講師、芸人の技術を言語化して伝える仕事など、世の中に笑顔を増やすための活動に取り組んでいます。
人前で「自分の力を発揮できなかった」ことはありませんか?
皆さんは人前に立ったときに、「自分の力をうまく発揮できなかった」経験はないですか?僕は芸人時代にエピソードトークをするときに、緊張してしまって力を発揮できないことがありました。その緊張の原因は、他人から「話すのが下手」だと思われたくないからでした。
ある日、人前でも堂々とトークができる友達に「自分が話してるときに、聞いている人にどう思われていると感じてる?」と聞いてみると、「え?みんな応援してくれてるでしょ。俺の話を聞きたいって思ってるはずだから」と答えました。それを聞いて僕は、「じゃあ、君は人の話を聞いているとき、どう思ってる?」と尋ねると、「『もっと話を聞きたい。頑張れ!』って思って聞いているよ!」と答えたのです。
そのとき、初めて気づきました。人は「他人も自分と同じ考えを持っている」と思い込みやすい生き物です。僕が話すときに緊張していたのは、人の話を聞いて「この人、話すのが下手だなぁ」と思ってしまうことがあったから。つまり、「人の話を聞いているときに思っていることは、自分が話すときに返ってくる」のではないだろうかと。
この法則がわかって以降、僕は人が話しているときは「頑張れ!」と応援することにしました。そうすることで、自分が話しているときも、聞いている人が「頑張れ」と言ってくれている気がして、堂々と自身を持って話せるようになったのです。

ちょっとした思考の変化が、あなたに大きな変化をもたらす
人の話やアイデアを聞いているときに「くだらない発言をするな」「つまらない話をするな」と思うと、自分の発言へのハードルも高くなってなかなか話せなくなる。人が失敗したときに「ダサい」と思うと、自分も失敗を恐れて行動できなくなってしまう。
もしあなたが「うまく力を発揮できない」と悩んでいるならば、その原因は「自分の放っている言葉」なのかもしれません。あなたが「自分だけが目だったらいい」と思えば、あなたのコミュニケーションは人から話をすぐ奪う人になるでしょうし、あなたが「みんなが楽しめるように」と考えていたら、あなたは話せていない人に話を振るようになるでしょう。
ちょっとした思考の変化はあなたに大きな変化をもたらし、そして人生さえも変えてしまいます。だからこそ、思考・考え方が一番大切なのです。僕がこれからあなたをお笑い芸人のような考え方「お笑い脳」に変えるために、考え方をアップデートしていきます。
「お笑い脳」って?
お笑い脳とは、端的に言うと 「お笑い芸人のコミュニケーションの考え方」 です。僕が講演するときは、必ずお笑い芸人の思考・考え方を伝えます。なぜなら、技術を教えるよりも考え方を変えるほうが、コミュニケーションの悩みが解決することが多いからです。
例えば、「人と話すのが怖い」と思っている場合、「人と話せる技術」を知っても仕方なくて、「人と話すのが怖い」という考えをまず何とかしないと解決できませんよね。考え方を変えることができれば、コミュニケーションの全てに変化が起こります。それほど芸人の考え方は学ぶべきものなのです。
失敗が失敗ではなくなる !?
では、まず「失敗」についてです。失敗したらあなたはどう感じますか?まぁ大抵の場合「イヤだ、ツライ、悲しい」と感じますよね。芸人の場合はというと、失敗はもちろんイヤなんだけど、反面、失敗したら「ネタができた」と思います。 芸人は必ず失敗を失敗談にするのです。
「何だ、失敗を話すネタにするだけか」と思った、そこのあなた!実はこれはバカにできないほど大切なことなのです。失敗というのは思い出したくもない出来事ですよね。しかし、それを「失敗談」として話し、人を笑顔にすることができれば、それって失敗じゃなくなりませんか?むしろ起きて良かったこととして捉えることができるんです。
例えば、芸人の粗品くんのエピソードで、ビートたけしさんの番組でエグいぐらいスベった話がありますが、それを相方のせいやくんが話して爆笑を取っていました。本来、芸人が「スベる」ということは、その後の仕事にも繋がってしまうツライ経験です。しかし、別の現場で笑いが起きれば、それは「起きて良かったこと」と肯定することができるのです。
「スベるとネタになる」という考え方が成立すると、スベるリスクがある行動を選択しやすくなります。 ここが大切なんです。失敗を恐れてしまっては、挑戦ができなくなってきます。そうなってしまう人生のほうが、よほど失敗といえます。
「それは芸人だからでしょ」と考える人もいるかもしれませんが、どんな人にも共通します。過去を肯定できなければ前に進めません。だから、考え方をアップデートしてほしいのです。
- 残念な脳…失敗はツライ、考えたくない→挑戦が怖くなっていく
- お笑い脳…ツライけど、話すネタにしてみよう→挑戦が怖くなくなっていく

何も「失敗を笑い話にばかりしろ」というわけではありません。もし誰かが失敗したとき、あなたの失敗談がその人を安心させる話になることもあるでしょう。それでいいのです。それであなたの失敗は「起きて良かったこと」に変わるのです。
だから、まず失敗を楽しく話せるようになりましょう。そして失敗しても肯定できるようになってください。それができれば、あなたに良いサイクルが生まれ、人生は変わっていくはずです。もしそれでも失敗がツラかったら、僕の変顔画像をプレゼントします。SNSでDMください。(合言葉は「助けてしばぴー」)
愛されない完璧よりも、 愛される失敗
人から好かれたい。可愛がられる人間にどうやったらなれるんだろう。そんな願いを持った方、たくさんいると思います。基本的にお笑い芸人は人から好かれたり、可愛がられたりしなければ活躍できない職業といわれています。それもそのはず、好感度はウケることに直結しているからです。
例えば、あなたの嫌いな人を思い浮かべてください。その人がおもしろいトークをしたときに、その話で心から笑えますか?大体の方は「笑いたくない」と思うはずです。反対に、自分が大好きな人がおもしろいトークをしたときには、少々つまらなくとも「笑ってあげたい」と思うでしょう。
つまり、好感度が高いとウケやすくなるといえるわけです。その証拠に長期にわたってテレビに出ている人は、どこか可愛らしく優しそうで愛嬌のある人が多いはず。(ほんのたまに、めちゃくちゃ嫌われて売れる人もいるけどね)
だからこそ、芸人は日々「どうすれば人から愛されるのか?」と向き合っています。ここでは、そんな愛される芸人が使っている好感度を上げるための考え方を教えましょう。まず、質問をさせてください。
「あなたは失敗している姿を見られたら、どう感じますか?」

- 恥ずかしい
- 仕方ない
- 興奮する
ここで選んだ選択肢によって、人からの好感度が変わります。「1.恥ずかしい」を選んだあなたは、残念ながら可愛げがないと思われてしまいます。そもそも好感度を上げたいのなら、人は他人のどういうところに可愛らしさを感じるのかを知ることです。
実は人間は他人の「弱さ」を知ったときに、その人に親しみを感じます。例えば、仕事先で「何もかもが完璧だと思っていた人」が飲みに行ったときに、「僕、恋愛は振られてばっかりでうまくいったことないんですよ〜」と言ってたらどうでしょうか?一気に親しみがわくはずです。これは、完璧だと思っていた人が弱さを見せることで、「この人もただの人間じゃん」と安心できるからだと考えています。
このことから、人は「完璧」には親しみがわかず、「欠点」には親しみがわくということが成り立ちます。欠点ばかりの天然芸人が、お茶の間で愛されるのはこうした理由です。欠点は隠したり恥ずかしく感じたりせず、さらけ出していくことが大事です。
なので、さっきの質問に「2.仕方ない」を選んだ人は「好感度が高い人」になります。おめでとうございます!「3.興奮する」を選んだ人はただの変態です。できるだけ自分の部屋から出ないでください。
しかし当たり前ですが、欠点ばかり見せているとナメられるし、時によっては信頼を失うケースもあります。ですから、僕が伝えたいのは「完璧を目指して欠点を一切見せない生き方はしんどいから、少しはさらけ出したらどうかな?それはそれで愛されるんだよ」というものです。愛されない完璧よりも、愛される失敗です。
- 残念な脳…失敗はダメ。完璧でいなくちゃ
- お笑い脳…失敗をしたらしたらで、それは愛されるから隠さない
「つまらない」と言う人は 自分がつまらない
よくいろんなことに「つまんない」と言う人っていますよね。それって実は、自分が「つまらない人間」だということを露呈しているんです。「え?つまらないものはつまらないでしょ」と感じる気持ちはわかります。しかし、一度僕の話を正座して聞いてほしいです。(正座はウソウソ)
例えば、番組でスベっている芸人を見て、SNSで「つまらない」と言う人がいますが、その場の芸人たちはそのスベっている様で笑っていることがあります。なぜ、視聴者は「つまらない」と感じているのに芸人は笑うことができるのか?そこにヒントがあります。1つ言っておくと、同業者に気を遣って愛想笑いをしているわけではないです。
それを見て「つまらない」と思う人と、それを「笑える」芸人の違い、それは「自分で楽しむようにしているかいないか」の差です。例えば、50歳ぐらいの売れていない芸人が叫んでいるネタを見たとします。それを「ただ叫んでいるだけじゃん。つまらない」と評価するのは簡単です。しかし、それでは「おもしろがれる能力がない」ということになります。
では芸人はどうやっておもしろがっているのかというと、「いい歳して何やってんだよ」「そんなの伝わるわけないだろ」とかツッコむとそれがおもしろく感じます。つまり「つまらないものとしてそのまま見るのか」「おもしろく変えようとして見るのか」の違いなんです。
「つまらない」を自分で「おもしろく」変える
もちろん感想は自由です。つまらないものは「つまらない」という感想を出すのもたまにはいいでしょう。しかし、そればかりでは人生というのはつまらないことが多くなってしまいます。つまらないことを自分でおもしろがれば、人生におけるつまらない時間を減らし「楽しい」と思える時間が増えます。それは大きなメリットだと思うんです。
だからこそ、与えられたものをそのまま受け取るだけでなく、楽しめるように持っていくという選択肢を持つことが大事です。別にこれはお笑いに限った話ではありません。例えば、ミュージシャンのオールスタンディングのライブに行ったときは、自分が楽しめる場所で見ませんか?(偉そうに言うてるけど僕はライブには行かん)
騒ぎたい人なら前のほうに行くし、ゆっくり楽しみたい人は後ろのほうで静かに見る。そうやって自分が楽しめる場所に移動するのもこれと同じだと思います。それを人の流れに身を任せて最前列に行って、「自分は落ち着いた場所で見たかった」なんて言っても仕方がないのです。自分で楽しめる場所に移動する努力が必要なんです。
「かも」「だろう」で想像する
楽しむ努力をするのが苦痛ならしなくてもいい。だけど、そうした選択肢があっても損ではありません。ではどうやって楽しめる技術を手に入れるのかというと、まず頭の中で、いろんなことを「かも」と「だろう」で想像するクセをつけていくのが良いです。(教習所で習ったよね、「かもしれない運転」あの感じ)
50歳ぐらいの芸人が叫んでいるネタを見た時なら、「こんな芸風なのに裏では静かかも」「ネタ帳に何て書いてるんだろう」「何でこの芸風でいけると思ったんだろう」「おじいさんとかおばあさんぐらいの人がこれを見たらどう感じるんだろう」などなど自分が笑えるように想像する。

そうすることで楽しめるクセが身につきます。これができるようになると、自分がつまらないと感じている人と遊んでも、その人をおもしろがれて楽しく感じたり、その人にツッコんで周りの人を笑わせたりすることもできるようになります。
こうして小さな変化は、あなたの人間関係さえも変えていくのです。そして、人生の笑顔になる回数も変えてしまいます。つまらないと思ってしまったときは、「かも」「だろう」で想像するクセをつけてみてくださいね。自分の力で人生は楽しくしていきましょう。
- 残念な脳…つまらないものをつまらないと見ている
- お笑い脳…つまらないものは頭の中で、「かも」「だろう」でおもしろく変えている
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