忘れ物が多く、片付けも苦手……子どもが「片付けの心地よさ」に気づく親のサポート術

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回も前回に引き続き、小学生のお子さんについてのお悩みです。
Question: 「忘れ物が多く、片づけも苦手で何度言っても直りません。親がどこまで手を貸し、どこから見守るべきでしょうか?」
子どもの「できる」「できない」は一人ひとりの個性
私は小学校の校長をしていました。子どもたちは本当に多様で豊かです。そして一人ひとりが全く違う存在であることに気が付かされます。校長先生のお仕事は、学校をよく知りよくしていくことです。そのために校長室や職員室におらず、朝に夕に各クラスをぐるぐると回っていました。授業中や休み時間、給食の時間に掃除の時間、それぞれに子どもたちは、いろいろな表情を見せてくれます。
その中には、何か苦手なことがある子どもたちもいます。今回のご相談のように、ちょっと忘れ物が多くて先生から注意を受けていたり、本人自身も少しバツが悪い様子で授業を受けていたりする子どももいます。また、子どもたち全員に同じ机と椅子とロッカーが割り当てられているのですが、その使い方や整理のあり方が全く異なります。きちんと整理整頓されている子どももいれば、同じロッカーとは思えないほどいろいろなものが飛び出していたり、時には床に散らばっている子どももいます。また机の中なども同様に、その子一人ひとりの個性が垣間見られます。教室を回るだけでも、とても面白いものなのです。
もちろん担任の先生は普段から机やロッカーの整理整頓について、いろいろな場面でお話ししたり指導をされたりしています。小学校教員はよく「凡事徹底」という言葉を使います。「凡事」つまり「当たり前のこと」を普段からきちんと意識して整える、ということです。プロとしていろいろな指導ややり方を心得ている学校の先生をもってしても、この忘れ物や片付けを徹底させるのはなかなか難しいものなのです。
片付けや「忘れ物をしないこと」のよさを実感させることから
さて学校の様子をお伝えいたしましたが、それではおうちではこれらの忘れ物や片付けに対して、どのように対応すればよいのでしょうか? 少し考えていきましょう。
ご相談の中で「何度言っても直りません」とあります。おそらく、今はまだそれができない状況なのでしょう。それは本人の育ち、または意識が整っていないのでしょう。
「なぜ忘れ物をしてはいけないのか?」
「どうして片付けなくてはいけないのか?」
そんな根本的なことが、まだまだ理解できない、あるいは実感していないのだと思います。そのように考えると、意識のない本人に任せていくこと自体が無理なことだと思います。忘れ物と片付けができないことが全く同じだとは思いませんが、お子さん自身の意識がそこにないという点では同じでしょう。ですから、まずはお家の方が一緒に片付けや忘れ物の確認をしてあげてほしいと思います。
子どもに任せてうまくいかないことが保護者のストレスになるのは、子どもにとっても決してよいことではないと思います。保護者の方と一緒に片付けや忘れ物の確認をしていく中で、整理整頓がよいものであること、また忘れ物をしないことが気持ちのよいものであることに気づくことが必要です。それが分かるまでは、一緒にやっていく方がお互いにとって、心地よいものだと思います。叱らなくてすみますからね。

子どもの「できる」が増えていくことを見守っていこう
一方で、保護者としては
「いつまでそれに付き合わなくてはいけないのか?」
「もう小学生なんだから、そろそろ自分で気づいてほしい」
などと思われることでしょう。ここの見切りやタイミングは本当に難しいです。それを見極めていき、少しずつ手を離していくことが子育ての大切なところなのでしょう。
残念ながら、ここに正解はありません。だからこそ子どもとの対話やコミュニケーションを大切にしましょう。様子を見ながら、そして親の思いを伝えながら、子どもの成長を待ちながら。もちろん、いつかは必ず手を離してください。いつまでも親と一緒にできるものではありませんから。そのいつかを心待ちにしながら、今日は一緒にやっていきましょう。
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学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。




























