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パパが経験した復職後の生活、『家事・育児は50点でいい』夫婦でしておきたい準備とは

育休からの復職を前に、「仕事についていけるかな」「家事や育児までちゃんと回せる?」と不安を感じる人は少なくありません。子どもの送迎や急な体調不良への対応など、復職後は仕事だけでなく、家族の生活そのものが大きく変わります。そこで今回は、3児の父で自身も育休を経験し、父親支援に取り組む一般社団法人Daddy Support協会理事の中西信介さんにインタビュー。復職前に夫婦で話しておきたいことや、復職後の生活を無理なく回していくための考え方、さらに保育士として働いた経験から、園との上手な付き合い方について聞きました。
復職前、夫婦で何を準備しておけばいい?

まずは「どちらか1人でも家庭を回せる」状態を目指して
復職前にまず大切にしてほしいのは、夫婦で目線を合わせておくことです。育休中は夫婦2人で子どもを見ることができても、どちらかが先に復職すると、それぞれの生活のペースに少しずつ差が出てきます。
例えば、夫婦のどちらかが先に復職して仕事中心の生活に戻り、もう一方が育休を続けている場合、育児や家事に関する経験や情報が育休中の側に偏っていくことがあります。その後、育休中だった側も復職すると、夫婦で家事や育児を分担するのが難しくなってしまいます。
そこで僕は、復職前に「どちらか1人でも子どもを見ながら生活を回せる状態」をつくっておくことが大切だと思っています。
もし、どちらかが1泊2日の出張に行ったとしても、安心して任せられるでしょうか。子どもの1日のルーティンや園の送迎、持ち物など、「普段は相手がやっているから分からない」ということをできるだけ減らしておく。復職後の生活を一度シミュレーションしてみるのもおすすめです。
家事・育児の分担はどう決めたらいい?

「100点」から「50点」へ。まずは合格点を下げてみる
復職後は、仕事をしながら家事や育児をこなしていかなければなりません。さらに、子どもの急な体調不良など、予定通りにいかないこともたくさんあります。
だから僕は、今までの生活を100点とするなら、「復職後は50点や60点でもいいよね」と夫婦で話しておくことが大切だと思っています。
家事・育児のタスクを全部洗い出して、「これはパパ、これはママ」と分担することもひとつの方法です。でも、それだけではなく、「やらないこと」を決めておくことも大切です。
例えば、洗濯物は畳まずハンガーのままにする、掃除は少し手を抜く。それだけでも、やることは減らせます。一方で、「食事だけは大切にしたい」など、人によってどうしても譲れないこともありますよね。それは無理に手放さなくていいと思います。
お互いの「譲れないこと」を共有して、それ以外のところではできるだけ力を抜く。「ここは頑張るけれど、ここはやらなくていいよね」と夫婦で決めておくと、気持ちも少しラクになると思います。
小さな「できた!」をひとつ見つける
できなかったことではなく、「今日できたこと」に目を向けることも大切です。忙しくて子どもとゆっくり遊べなかったとしても、帰宅して5分だけ子どもが好きなおもちゃで一緒に遊べた。朝、「おはよう」と言ってハグができた。それだけでもいいのです。
自分なりに「これができたら今日はOK」と丸をつけられることをひとつ決めておくと、「今日もできた」と思えます。完璧を目指すよりも、小さな合格を積み重ねていってほしいですね。
困ったときの「頼り先」はどう見つける?

パパも自分から情報を取りに行こう
今は家事や育児に関する情報がたくさんあります。でも、ほかの家庭のやり方を見て、「あの家はうまくできているのに、うちはできていない」と苦しくなってしまうこともあると思います。
家庭によって働き方や環境は違うので、すべての情報が自分たちに合うわけではありません。だからこそ、自分たちに合ったアドバイスをもらえる人や、困ったときに頼れる人とつながっておくことが大切です。
仕事との両立なら職場の先輩、子どものことなら地域の子育て支援センターや保健師さんなど、「このことならこの人に聞こう」という頼り先をいくつか持っておくと安心です。
そして、情報を集めることをママだけの役割にしないことも大切です。パパも自分から情報を取りに行ってみてください。必ずしも「パパ友」をつくる必要はありません。職場に子育てと仕事を両立している人がいるなら、パパ・ママに関係なく話を聞いてみる。そこで得た情報を夫婦で共有することで、子育てや仕事との両立について、夫婦で同じ目線に立って考えやすくなります。
Daddy Support協会でも、必要なときに人に頼る「受援力(支援を受ける力)」を大切にしています。夫婦だけですべてを抱え込まず、「困ったときはここに頼ろう」と話しておくことも、復職前にできる準備のひとつだと思います。
夫婦で復職時期が違う場合、気をつけたいことは?

先に復職した側も、一度「ギアを落とす」
夫婦で復職時期が違う場合、先に復職した側は、パートナーが復職する頃にはすでに仕事のペースができています。だからこそ、後からもう一方が復職するときには、先に働いている側も一度仕事の「ギアを落とす」ことが大切だと思っています。
可能であれば、パートナーの復職時期に合わせて育休を取る、勤務の仕方を調整する、残業が難しいことをあらかじめ職場に伝えておくなど、それぞれの家庭や職場でできる方法を考えてみてほしいです。
復職した本人は、久しぶりの仕事に慣れるだけでも大変です。そこに、園に通い始めた子どもの体調不良などが重なることもあります。復職する側だけに頑張ってもらうのではなく、先に復職していた側も働き方をもう一度見直して、2人で新しい生活をスタートするという意識を持てるといいと思います。
※育児休業や勤務形態など利用できる制度・条件は、勤務先などに確認してください。
復職後、仕事との両立で意識したいことは?

家庭の状況を職場にも伝えておく
復職は、部署異動や転職のように、生活や仕事の環境が大きく変わるタイミングです。すぐに以前と同じようなパフォーマンスを出そうとしなくてもいいと僕は思っています。
特に復職してしばらくは、子どもの急な体調不良などで予定通りに働けないこともあります。そんなときに備えて、家庭の状況を職場にもできる範囲で伝えておくことが大切です。
もちろん、職場の全員に話す必要はありません。信頼できる上司などに、「子どもの体調によっては急に休む可能性があります」「今は残業が難しいです」とあらかじめ共有しておくだけでも違います。
家庭だけの問題として抱え込むのではなく、「この会社でこれからも働き続けたい。そのために今はこういう調整が必要です」と職場とコミュニケーションを取っておくことは、自分自身を守ることにもつながると思います。
園にはどこまで相談していい?

「こんなこと聞いていい?」と思うことも、まずは相談してみて
私は園の運営に関わる仕事をしているため、園の先生の立場からも復職について考えることがあります。
皆さん、「こんなことまで園の先生に聞いていいのかな?」と迷うことがあると思いますが、僕は基本的には相談してもらっていいと思っています。
保育は園だけで完結するものではありませんし、子育ても家庭だけで完結するものではありません。家庭での子どもの様子や、親がどんなことに困っているのかが分かると、園でもその子のことをより理解しやすくなります。
例えば、「家ではこんなことばかりして困っています」と相談してみると、「発達の過程では自然なことですよ」と教えてもらえる場合もあります。逆に、内容によっては専門機関などの適切な相談先につないでもらえることもあります。保育士がすべての悩みに答えられるわけではありませんが、まず相談してみることで次につながることもあります。
ゆっくり相談したいときは、まずは時間をもらう相談をする
送迎の時間は、保護者も先生も慌ただしく、立ち話ではゆっくり相談できないこともありますよね。少し込み入った話なら、「今度10分、15分ほどお時間をいただけますか?」とお願いしてみるのもひとつです。あらかじめ時間が分かっていれば園側も調整しやすいですし、必要であれば主任の先生なども交えて話を聞いてもらえる場合があります。
もちろん、園によって方針や体制は異なるので、すべての園で同じように対応できるとは限りません。それでも、家庭と園がお互いに子どもの様子を伝え合い、子どものことを真ん中に置いて一緒に考えていくことは、とても大切だと思います。
復職を控えるママ・パパへ

「100点」を目指さず、1人で抱え込まないで
復職後は、どんなに準備をしていても思い通りにいかないことが出てくると思います。子どもが体調を崩すこともあれば、仕事が忙しくなることもあり、家事が思うようにできない日もあります。育児は、いろいろなジレンマとの付き合いだと僕は思っています。だからこそ大切なのは、いかに1人で抱え込まないかです。
夫婦で一緒に抱えてもいいし、信頼できる人に話してもいい。話したからといって、すぐに解決しないこともあります。でも、「大変なのは自分だけじゃないんだ」と思えるだけで、自分に求める基準を少し下げられることもあります。
最初から100点を目指さなくて大丈夫です。「今日はこれができた」と思えることを見つけながら、夫婦で、そして周りの人にも頼りながら、自分たちなりのペースをつくっていってほしいですね。
取材・文/やまさきけいこ
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