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ライフイベントに合わせて働き方を考える!東京都のライフキャリアシミュレーター「イフキャリ」とは?

子育てや仕事との両立に追われる中、将来の働き方や家計について考える余裕を持つのはなかなか難しいもの。「このままでいいのかな」「子どもが大きくなったとき、どう働けばいいのだろう」などの漠然とした不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。東京都では、結婚・出産・子育てといったライフイベントを踏まえ、自分自身の将来や働き方を考える後押しをする取り組みを進めています。今回はライフ×キャリアシミュレーター「イフキャリ」の活用法について、東京都産業労働局の黒木俊太郎さんに詳しく話をうかがいました。
一人ひとりが希望する生き方を選べる社会を目指して
——まず、東京都がライフキャリアについて考える取り組みを進めている背景を教えてください
東京都 産業労働局 総務部企画調整課 主任(働く女性応援担当)黒木俊太郎さん:東京都では、結婚、出産、子育て、介護など、人生のさまざまな場面において、一人ひとりが希望する働き方や生き方を選べる社会を目指しています。
一方で、ライフイベントをきっかけに仕事と家庭の両立で悩んだり、働く時間を抑えたりと、日常生活とキャリアの間で難しい選択を迫られることがあると思います。働き方を考える際には現在の収入だけでなく、将来の収入、年金、子どもの教育費、住宅や介護の費用など、さまざまな要素が関係してきますよね。しかし、働き方を変えたときに将来がどう変わるのかをご自身だけで整理し予測することは、決して簡単なことではありません。
そのため東京都では、さまざまな働き方があることを前提に、ライフとキャリアの両面から複数の選択肢を比べて、自分や家族に合った将来を考えるきっかけをご提示できればと考えています。その具体的な手段の1つが、ライフ×キャリアシミュレーターの「イフキャリ」です。
正しい理解がカギ!年収の壁や最新の制度改正を「自分ごと」に
——収入のシミュレーションだけでなく、「年収の壁」などの制度も反映されているそうですね
黒木さん:そうなんです。働き方を検討するときは、単純に仕事量を増やす、減らすということだけではなく、「正しい知識を得た上で考える」ということが大切です。
いわゆる「年収の壁」などの制度を自分ごととして捉えた上で、仕事量を抑える選択をしたり、「もっと働いてもいいんだ」と収入を伸ばす方向で考えたりするために、ご家庭の検討材料として「イフキャリ」を役立てていただければうれしいですね。
——現在、年代や働き方別に「年収の壁」をわかりやすく解説した普及啓発動画も公開されていますね

黒木さん:いわゆる「年収の壁」と呼ばれるものは、税金と社会保険の制度が混在しており、壁を超えるとどうなるのかが一般的には少し分かりにくいテーマです。そのため、どうしても「壁を超えると損をしてしまう」「扶養の範囲内に収まったほうが得だ」というイメージが先行しがちです。
この動画は、ご覧いただいた方に短期的な視点だけではなく、社会保険への加入によって将来の年金受給額が増えたり、一定の要件を満たすことで傷病手当金や出産手当金などの保障を受けられたりするという、長期的視点も持っていただくことを目的に制作しました。
動画内では将来の年金額がどのくらいになるかも提示しており、年収の壁を超えた場合に生じる負担だけでなく、将来の年金や保障の変化も含めて理解していただけるのではないかと思います。動画で制度を知り、シミュレーターで「自分の場合はどうなるんだろう」と将来を試算していただくことで、漠然とした不安の内容が明確になり、制度を自分ごととして捉えていただけるのではないでしょうか。
——今回の所得税・社会保険制度の改正を踏まえて、子育て世代やパート・アルバイトの方が特に知っておきたいポイントは何でしょう?
黒木さん:先ほどもお伝えしたとおり、大前提として、「年収の壁を超えたからといって、それが必ずしも不利な選択になるわけではない」ということをお伝えしたいですね。それぞれの制度のポイントを理解することが大切なので、所得税・社会保険に関する壁から一つずつピックアップしてご説明します。
まず、所得税に関わる「年収178万円の壁」について。これは2026年分の所得税がかかり始める給与収入の目安が、従来の年収160万円から178万円に引き上げられたことで、ニュースなどでも取り上げられました。
こう聞くと178万円を超えた場合、収入のすべてに課税されるように感じる方も少なくないのではないでしょうか。実際には178万円の控除を上回る部分に対してのみ課税されるため、急に手取りがガクンと減るわけではありません。例えば、年収179万円の場合、超えた1万円が対象になりますから、増える所得税は約500円程度にとどまります。これを知ると、壁を超えて働いてもいいかもしれないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もう一つが社会保険に関わる「年収130万円の壁」です。配偶者などの健康保険の扶養に入っている方の場合、年収130万円以上となると扶養から外れる場合があります。その場合、勤務条件等に応じて、勤務先の健康保険・厚生年金に加入するか、国民健康保険・国民年金に加入し、ご自身で保険料を負担することになります。勤務先の社会保険に加入した場合には、基礎年金だけではなく厚生年金を将来受け取れることに加え、要件を満たせば傷病手当金や出産手当金などの保障も受けられます。直近の手取りだけでなく将来の安心を含めて考えることが大切になりますね。
確かに加入直後は保険料の負担によって手取りが一時的に減る場合もあります。しかし社会保険に加入すると将来受け取る年金額が増えたり、要件を満たせば傷病手当金や出産手当金などの保障を受けられたりするため、直近の手取りだけでなく将来の安心を含めて考えることが大切になりますね。
さらに、社会保険の適用拡大に関する法改正として、2026年10月から、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれていた「月額8.8万円以上から社会保険の対象になる」という賃金要件が撤廃されました。これにより、従業員数51人以上の企業で働くパート・アルバイトの方は、年収が106万円に達しているかどうかではなく、「週の所定労働時間が20時間以上かどうか」等が社会保険の対象となる基準になります。
なお、この企業規模要件も段階的に縮小され、将来的には撤廃される予定ですので、ご自身の働く時間や勤務先の規模、加入要件にどう当てはまるかを確認することがとても大切です。
目の前の年収だけにとらわれない、「生涯」という視点の大切さ
——「年収の壁」を考えるときに、目の前の年収だけでなく「生涯」という視点を持つことにはどのような意味があるのでしょうか
黒木さん:子育て中は、保育園の送迎や子どもの体調不良などもあり、勤務時間を短くしたり働き方を一時的に変えたりすることが必要になるご家庭は多いかと思います。お子さんとの関わり方についてもさまざまな考え方がありますし、家庭ごとにその時々でベストな選択があるでしょう。
一方で働き方の違いは、その年の手取りだけでなく、その後のキャリア形成、退職金、将来受け取る年金など、生涯にわたってさまざまなところに影響します。短期的には負担が増える選択に見えても、長い目で見ると収入や保障が、ご自身の想像以上に増えるケースも考えられます。
大切なのは、正しい情報を知った上で、「子どもが小さい今、どのように働きたいか」「子どもが成長した後にどうしたいか」「どのような暮らし方を大切にしたいか」といった長期的な時間軸を持ってご自身の働き方や暮らし方を考えることです。
ライフ×キャリアシミュレーターの「イフキャリ」は、将来の予測結果を出すことが目的なのではなく、検討材料を提示するためのツールなんです。その材料を基に、今の選択が将来にどうつながるのか、じっくり比較検討してみてください。
夫婦で未来をシミュレーション!「イフキャリ」のおすすめ活用法
——では「イフキャリ」について、具体的な活用法を教えてください
黒木さん:例えば、育児休業からの復職時にフルタイムにするか短時間勤務にするか悩むときや、お子さんの入園・入学のタイミングで働く時間を見直すときに活用していただきたいです。「子どもが大きくなって時間ができたからパートから正社員へ挑戦したい」「戸建て住宅を購入したい」「余裕を持って教育費を蓄えたい」など、家族と将来設計を話し合うときや、さらにその先の老後にどう暮らしたいかを考えるときにも役立ちます。

ライフスタイルにあわせたシミュレーションが可能

住宅の購入状況も細かく設定ができます

子どもの人数や年代も設定できるので、よりリアルな診断に
使い方のポイントとしては、複数の条件でシミュレーションしてみることをおすすめします。まずは現在に近い条件で試算し、次に「勤務時間を増やして年収を増やしたらどうなるか」「パートから正社員へ働き方を変えたらどうなるか」「復職時期をずらしたらどうなるか」など、条件を変えて複数の結果を見比べていただきたいです。

2026年9月に行ったシステム改修で、「もし違う働き方をしたら」という切り替えボタンを新設するなど、より見比べやすくなりました。年収の壁を超えているかどうかも結果画面でわかるようになっていますし、生涯収支のグラフや、自分らしいライフキャリアのバランスタイプなど、利用者に合わせたアドバイスも確認できます。
今後もさらに使用感のブラッシュアップを続けていきますので、ぜひパートナーと一緒に使っていただき、働き方や家事の分担、住まい、教育費について話し合うきっかけにしていただけたらうれしいですね。
まとめ
子育てと仕事の付き合い方は、子どもの成長ととも変化していきます。漠然と将来の不安を抱えるより、「イフキャリ」を活用して、働き方を変えた自分のさまざまな「ifルート」を手軽に可視化してみませんか?楽しみながら、家族とのさまざまな将来をシミュレーションしてみてくださいね。
※シミュレーション結果は、入力された条件や一定の前提に基づく試算であり、将来の収入・支出等を保証するものではありません
※制度の適用は、収入、雇用契約、勤務先の規模、家族構成等によって異なります。詳しくは、勤務先や加入する健康保険の保険者、税務署、日本年金機構等にご確認ください
企画・編集/&あんふぁん編集部、取材・文/山田朋子

























