【パパ旅】親子で大興奮!吾妻峡のレールバイク「アガッタン」に乗ってみた

旅行作家の吉田友和さんによるコラム。小学生のお子さんがいる吉田家。ママは出張が多いので、パパと子どもだけで過ごす日も。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」、今回は自然を満喫しに、群馬県・吾妻峡へ!
梅雨を迎える前のこの季節は、暑くもなく寒くもなく過ごしやすい。新緑も美しく、自然を愛でに野山へ出かけたくなるところだが、「どこかへ行こうよ」と子どもたちを誘ってみても、目的が自然だと渋い顔をされるのがわが家ではよくあるパターン。「えーそれより原宿に行きたい」とか言い出す始末である。ううむ、都会っ子なのだ。
とはいえ、小学生なんてそんなものなのかもしれない。ゲームやら動画鑑賞やら、楽しいことはいっぱいある。とりあえずどこか公園へ連れて行けば喜んでもらえる、という年齢でもない。
自然を満喫しつつも、都会っ子の娘たちもそれなりに興味をもってくれそうな旅プランはないものかと思案を巡らせた。そうして思いついたのが、レールバイクだった。
レールバイクとは?
レールバイクとは、鉄道の線路の上を自転車で漕いで進むトロッコのような乗り物のこと。廃線となった線路を活用した観光アクティビティとして注目を集めており、前々から密かに気になっていた。
レールバイクに乗れる場所は全国各地に点在している。関東近郊で子連れで行きやすそうな場所として、群馬県の吾妻峡に狙いを定めた。旧JR吾妻線の廃線跡に整備されたレールバイクで、通称「アガッタン」という。
乗るなら、予約はほぼ必須だ。アガッタンは1日の運行本数や、運行時刻が決まっている。現地で運営者に聞いたが、とくに週末は予約だけで埋まるそうで、予約なしでフラッと行って乗れるような感じではないらしい。人気のアクティビティなのだ。
アガッタンが運行されているのは、旧JR吾妻線の雁ケ沢駅と吾妻峡八ッ場駅の区間。14時25分雁ケ沢駅発の7便を予約した。帰りは15時05分吾妻峡八ッ場駅発の8便である。季節によって運行本数は変わるので、詳しくは公式ホームページ(https://agattan.com/)で確認を。
パパと娘2人、車で群馬へ
ママ不在の日曜日、2人の娘を連れて車で家を出た。パパだけ子連れ旅では可能な限り移動は電車なのだが、今回は場所的に電車では行きにくい。途中まで電車で行ってレンタカーを借りる手もあるが、いずれにせよ山奥なので車は必須だ。
土曜は混雑しがちな関越自動車道の下りも、日曜はそれほど混んでなくてホッとした。渋川伊香保ICで高速を降り、渋川市内でランチタイム。パパが大好きな漫画『頭文字D』の聖地なので少し興奮したが、今日の目的はそれではない。
ちなみにランチはガストで食べた。旅行先だというのにどこにでもある普通のファミレスへ入ったのは、このときガストがポケモンとコラボしていて、次女が行きたがったからだ。
パパとしてはできればご当地グルメの水沢うどんの店に行きたかったが、ただでさえ自然テーマの旅に娘たちが警戒している雰囲気だったので、少しでも気分を前向きにさせようと思った。要するに、姫(娘)のご機嫌取りなのである。
アガッタンは往復利用が基本。予約を忘れずに
アガッタンの受付は吾妻峡周辺地域振興センターというところで、道の駅あがつま峡の近くにある。車を停めて受付を済ませた。代金もこのときに支払う。
料金は3人乗りだと片道3000円、往復5000円。4人乗りだと片道3500円、往復6000円。支払いは現金のみなので要注意だ(手持ちがなくてATMで下ろす場合、最寄りコンビニまでも少し距離がある)。
ちなみにアガッタンは片道だけ乗ることもできるが、バスなどの公共交通はないため、歩いて戻らなければならなくなる。誰かが車で迎えに来てくれる、などの理由がない限りは、基本的に往復での利用が前提となるだろう。
どちらが先に漕ぐか問題、発生
ヘルメットを選びながら、誰が先に自転車を漕ぐかをまずは相談してみた。
3人乗りのアガッタンは、両サイドに計2台の自転車、真ん中に人力車のような座席という構造になっている。3人のうち2人が自転車に乗ってペダルを漕いで進む仕組みだ。真ん中はただ座っているだけ。
当初、2人の娘たちに自転車を漕がせて、パパは真ん中の席でのんびりマッタリ景色でも堪能しようなどと考えていたのだが、それはルール上できないという。小学生以下の子どもが自転車に乗る場合は、必ずもう一方の自転車には大人が乗らないといけないとのこと。
そんなわけで、姉妹のうち、どちらが先に自転車を漕ぐかの作戦会議をしたのだが……ここでもめごとが発生。2人とも先に漕ぎたいと言って譲らないのだ。
しばし言い合ったのち、長女がごり押しするような形で先に乗ることに決まった。次女はあまり納得していない様子だったが、今回はしぶしぶ引き下がったようだった。
ところが、話はこれで終わりではなかった。出発を待つ間、それとなく運営の方に質問などしていたのだが、ここで爆弾発言が飛び出したのだ。
「行きの方が少し上りになっています」
それを聞いていた娘たちの表情が変わったのは言うまでもない。
「やっぱり、うちは帰りでいいよ」と、長女は前言を撤回した。それに対し、次女は当然のように文句を言う。「えーだめだよ、うちが帰りって決まったでしょ!」
お互い、楽な方がいいらしい。こういうところがまさに都会っ子だなぁと内心思ったりもする。喧々諤々の言い合いとなったが、最終的に次女が涙目になっているのを見て、今度は長女が折れたのだった。

ガタンコトン、と音を立てながら疾走!
出発時間が近づくにつれ、待機場所に人が増えてきた。現地で聞いたところ、アガッタンでは1つの便につき最大9組まで参加できるそうだ。受付から駅までは少し離れていて、ガイドさんの案内に従ってみんなでゾロゾロと駅へと歩いて向かった。
順番決めで少々ゴタゴタしてしまったが、気持ちを切り替えていく。駅に着いたら、これまでに見たことのない不思議な乗り物が並べられていて、娘たちもテンションが上がってきたようだった。
そうこうしているうちに、先頭の組から順に出発していった。わが家は進むのが遅くて迷惑をかけそうなので、グループの中でも一番最後に出発することにした。レールを走る乗り物だから、途中で追い越しはできない。
上り坂と聞いていたものの、実際にはそれほどきつい勾配という感じはしなかった。運動不足な体でも普通に自転車を漕いで進める。先ほどまでは不貞腐れていた子どもたちも大はしゃぎしている。
ほかでは体験できない新鮮な乗り物である。強いて言えば、遊園地によくある自転車を漕いで進むアトラクションが近い存在だろうか。といっても、単に自転車に乗るのともやはり違う。ときおりガタンゴトンと大きな音を立てて揺れたりして、線路の上を走っている実感が湧いてくる。
そしてなんといっても、景色がすばらしい。高所を走るため見晴らしがいい。美しい新緑を目にして癒されながら、未知なる乗り物に好奇心も満たされる。
走っていると、やがてトンネルに突入した。樽沢トンネルといって、現役当時は日本一短い鉄道トンネルだったらしい。トンネル内は電飾されていてなんだか異空間だ。娘たちは「さむいっ!」と叫んでいた。確かにトンネル内はひんやりする。
アガッタンが走るのは鉄道の駅と駅の1区間で、距離にして約2.4キロ。これが思ったよりも結構長いと感じた。終着点にあるのが八ッ場ダムだ。2020年3月に完成した最新式のダムは間近で見るとかなり巨大で、ドドーンと迫力があって圧倒される。
ダムの前で少し休憩すると、やがて復路の便の出発時間となった。往路では上りとはいえ実際にはそれほど大変さはなかったが、帰りは下りのせいか明らかに往路よりもスイスイ進む。やはり傾斜があるようだ。
往路では真ん中の席で野次を飛ばしていた次女が、生き生きとした表情で自転車を漕いでいた。涙目になりながら復路の権利を勝ち取ったものの、いざ出発してみると、往路の時点で姉がものすごく楽しそうだったのでうらやましくなり、早く自分も漕いでみたかった、というオチである。


今回のまとめ
最後に、初めてレールバイクに乗ってみた感想を書いておくと、本物の線路の上を走るため、列車の運転士になったような気分が味わえるのが魅力と感じた。ガタンゴトンという音や振動を体感できるのもリアルでいい。
乗り物にはほとんど興味のないわが家の娘たちでもこれだけ楽しめたので、鉄道好き、電車好きの子どもなら、めちゃくちゃハマるような気がする。
今回は3人で挑戦したが、アガッタンは4人乗りも用意されている。「次はママも連れてこよう!」と娘たちと盛り上がりながら帰路についたのだった。
ナビゲーター


























