授業参観で手を挙げない我が子にモヤモヤ……元校長が教える「子どもが学ぶ姿」の見つけ方

授業参観で手を挙げない我が子にモヤモヤ……元校長が教える「子どもが学ぶ姿」の見つけ方

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は、授業参観に行った保護者から寄せられた「子どもの学びの様子」についての悩みです。

Question: 「授業中、子どもが積極的に手を挙げて発言しないので、授業参観でさみしく思ってしまうのですが、そのままでよいのでしょうか。何か声掛けをする方法はあるでしょうか?」

同じ授業をしていても、子どもの反応は十人十色!

私は、小学校の校長をしていました。毎日全部のクラスをぐるぐると回り、全学年の多くの子どもたちの授業の様子を見てきました。その経験から言えることは、子どもたちはみんな多面的であり、そして一人一人がとても個性的であるということです。

私が勤務していた小学校は1クラス35名ずつであり、先生の質問や問い掛けに対しての反応もさまざまでした。

  • 「はい、はい、はい」と、積極的に手を挙げて答えようとする子ども
  • 特に声を出すわけではないが、まっすぐに自信ありげに手を挙げている子ども
  • なんとなく周りを見ながら、そろ〜りと手を中途半端に挙げている子ども
  • ぶつぶつと何か意見を言いながら、手を挙げたり下げたりしている子ども
  • 全く手を挙げず、ぽかんと先生や他の子どもを見ている子ども

教室には本当にいろいろなタイプの子どもがいます。しかも教科が変わることで、その反応は変わってきます。国語は得意だけれど算数が苦手、社会が得意でいろいろと知っているけれど理科はよく分からない。体育は積極的だけれど、音楽のときに歌う声は小さいなど、違いはさまざまです。

学校は子どもたちが学び、経験できる場所

また、授業と生活の場面でも子どもたちは異なる姿を見せてくれます。授業中は静かだけれど休み時間はとても元気、発表の声は小さくても給食を食べるのが早い、じっと座っているのは苦手だけど足は速い、などです。これらの違いも毎日見ているとよく分かりますし、それぞれにとても興味深いです。

つまり学校は登校してから下校するまでの間に、子どもにとってさまざまな学びや経験の場面が用意されている場所であり、子どもたちの生活を支えている大きな装置なのです。子ども個人だけで成立するのではなく、班活動やクラス活動、また学年全体や異学年との交流、そして学校の全校児童や教職員などの多くの人から成り立つ空間だと言えます。


その前提に立つと、確かに手を挙げない子どもは一定数いますが、そのこと自体に何か問題があるわけではないのです。手を挙げて発言しても、その答えが間違っていたり、全く的外れだったりすることもあります。手を挙げない子どもたちは、その瞬間に一生懸命考えていたり、また自分なりに悩み迷うというプロセスを踏んでいたりするのかもしれません。教師はもちろん結果も大切にはしますが、決して結果や目に見える事象だけで子どもをとらえたり判断したりするわけではありません。その子の内面の変化や心の動きなども大切に見取っています。


ですから、お子さんが手を挙げない姿にがっかりするのではなく、そのときの気持ちや考えに意識を向けてあげてほしいと思います。

その子なりの「学びの姿」を認めてあげて

授業のその場面だけでなく、ほかの場面の取り組みにも視点を変化させてほしいと思います。例えば、お子さんのノートの取り方などはどうでしょうか。発言はなかなかしなくても、しっかりと先生のお話を聞いて、素晴らしいノートを書いている子どももたくさんいます。自分なりの解釈を付け加えたり、板書を写すだけでなく自分なりに色付けしたりして、学びの深まりを感じさせるものが見られます。

子ども一人一人の学びの方法やペースは、実にさまざまです。大人からは見えにくいこともありますが、その子なりの学びの姿をうまく見つけてあげて、そのことを認めながら、またさまざまな学びのやり方、関わり方を一緒に考えてあげてほしいです。手を挙げることも素敵ですが、それ以外の方法も素敵な学びですから。

子どもの頑張り方はそれぞれ。お子さんの学びの姿を見つけてあげましょう。

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学び・遊び・教育

大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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