「きょうだいげんか」に隠された子どもの本音と、親の関わり方

「きょうだいげんか」に隠された子どもの本音と、親の関わり方

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は、多くの家庭が頭を悩ませる、「きょうだいげんか」についての悩みです。。

Question: 「きょうだいげんかをどこまで見守るか悩みます。なるべく公平にと思いつつ、つい仲裁に入って上の子に我慢してと言ってしまうことが多いのですが、それでよいのでしょうか?」

今や「きょうだいげんか」は貴重な体験?

近年の世帯動向を見てみると、2004年までは一人っ子世帯より二人きょうだいのいる世帯の方が多くありました。しかし2007年以降は一人っ子世帯の方が多くなり、二人、三人きょうだいのいる世帯が大きく減少してきています。ここからきょうだいをもつこと自体がとても難しい時代が来ていることが分かります。

国民生活基礎調査(厚生労働省)より(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/dl/02.pdf)

これからの社会は、ご相談のような「きょうだいげんか」をすること自体が困難な状況になりつつあるのです。そのような視点に立てば、きょうだいげんかができる環境はある意味、貴重なことだと言えるのかもしれません。とはいえ、日々目の前で繰り広げられるけんかを見ている親は、たまったものではありません。親としては、同じ親から生まれたきょうだいなのだから仲良くともに育ってほしいし、できることなら一生助け合って生きていってほしいと思います。これは当然の感覚でしょう。しかし目前ではけんかが繰り広げられてしまう。やれやれ、ですね。

そもそも私は、きょうだいとは「親の愛情を奪い合う存在」だと思っています。人は誰しも周りから愛されたいと思っています。特に子どもはその命の維持や継続のために、最も力を注いでくれる親に対しての思いは特別なものです。その特別な親に最も愛してほしい、という感覚は至極自然なものです。しかしそこに強力なライバルが出現します。それがきょうだいです。親からすればどちらもかわいく大切なわが子です。しかし子どもたち同士は、大切である反面ライバルであるという、矛盾を抱えた存在なのです。

「上の子」が抱える複雑な思いを知ろう

特にご相談にある「上の子」は、とても複雑な感情を抱いていることがあります。自分が一人っ子のときは、親や祖父母など周りの愛情を一身に受けていました。長子は当然ライバルがいないのですから、100%の愛情に満たされた中で育ちます。そして次子が生まれてきます。親はどちらもかわいいですが、特に次子は長子より幼いので手がかかります。親からすれば、愛情を注ぐ対象が二倍になってうれしいのですが、長子からすれば今までの100%が半分になった感覚でしょう。今まで100もらっていたものが1でも欠けること自体が嫌な感覚であり、不満につながるのだと思います。それなのに小さい次子が、なんだか親に大切にされていたり、ちやほやされているように見える。長子としてのプライドや存在が脅かされるのでしょう。

そのときに起きる現象が「赤ちゃん返り」というものです。「自分も赤ちゃんのようにできないことをアピールすれば、周りから大切にされる」という思いが、そのような行動につながります。なんだかとっても涙ぐましいと思いませんか? 長子なりの生存戦略なんです。

子どものポジションを基にしたしつけはバランスよく

上の子は当然下の子より大きいので、ご相談のように「我慢して」「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんのくせに、そんなこと」などというような言葉がついつい出てきます。そのような環境の中で、「長子のキャラクター」が作られてくるよい面もあります。「頼りがい」「リーダーシップ」「まとめていく力」などの育成につながると思います。ただし反面、それらが強すぎた場合に「どうして私ばかり」「いつも我慢させられている」「お兄ちゃん(お姉ちゃん)になりたくてなったわけではない」などの思いを感じることもあるかもしれません。

長子であること自体を否定することはできませんが、大切なのはそのバランスです。親が都合よく「兄・姉」「弟・妹」のポジションだけを使いすぎるのはよくないと思います。「上なんだから我慢しなさい」も「下なんだから我慢しなさい」も、親にとって都合のいい理由付けという点で同じ文脈になってしまいます。

当然、生活の中でそのような表現が必要な場面は存在します。親はこの2つの文脈を使えば、子どもたちをすべて自分の都合よくコントロールすることができてしまいます。誰にも当てはまる言葉なのですから。だからこそ、長子、次子、中間子などのポジションだけの関わりではなく、きょうだいの枠を意識しながらも、その子一人一人のキャラクターや状況を見て、大切にしながら言葉がけや関わりをしてあげてほしいです。

「上か下か」だけではなく、子どものキャラクターや状況を見極めて声掛けをしよう

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学び・遊び・教育

大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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