宿題の間違いを指摘されると怒ってしまう子ども……親子の感覚ずれを解きほぐす処方箋

 宿題の間違いを指摘されると怒ってしまう子ども……親子の感覚ずれを解きほぐす処方箋

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は、保護者から寄せられた「宿題を見守る際のお悩み」です。

Question: 「宿題の間違いを指摘すると怒ります。特に漢字の指摘が嫌なようです。『先に済ませれば後は好きなことができるよ』と言っても怒ります。どうしたらよいでしょうか」

そもそも、先生はなぜ宿題を出すのか

子どもと一緒に宿題をしてあげる、見てあげる姿勢はとてもすてきですね。小学校の宿題は、先生のいろいろな思いや願いのもとに出しています。しかしすべての子どもやご家庭が、その思いを理解しているわけでもありませんし、時として食い違いが生じることもあります。そもそもなぜ先生は宿題を出すのでしょうか? そこにはいくつかの意図があります。

  • 学力の向上と学びの確認
  • 授業のフォローや次回の動機づけ
  • 学習習慣の定着
  • 学習の進捗状況などを保護者に確認してもらう

もちろん教科や学年、先生の指導の在り方によって目的の違いはありますが、小学校の低学年はこの辺りでしょうか。小学校の教育のすべてにおいて、それぞれ意味があり決して無駄なことはありません。保護者の方には、そのことを理解していただければと思います。

子どもの感覚で見てみると、不満の理由が見えてくる

今回のご質問では、子どもはなぜ怒っているのでしょうか? その理解が対応のポイントになると思います。

まず、子どもの特性として、時間軸の限定というものがあります。子どもは「今を生きる存在」です。過去も未来も存在していません。「今・ここで」という感覚が強い存在です。今回、保護者の方は大人として、宿題を終わらせた先の姿やその時に得られる利益についてお話しして、それをモチベーションにしようとしています。もちろん大人としては、効率的であり、その後の自由度の素晴らしさを説いているのです。至極当たり前のお話です。

しかし一方で、子どもは目前の宿題を片付けるという意識しかありません。先のことなどは全く考えないですし、「そんな未来の話されても」くらいにしか思っていないのかもしれません。ここに大きなずれが生じているように思います。

また「漢字の指摘が嫌」というのも、子どもと保護者の方のゴールの設定のずれを感じます。子どもは特に「目前の宿題を終わらせる」というゴールの設定をしているのではないでしょうか。しかし保護者の方のゴールは「片付ける」ではなく、宿題そのものの本質に目を向けています。

  • 間違わずに書く
  • 漢字を覚える
  • 丁寧にきれいに書く
  • その言葉を理解する

など、たくさんのゴールを設定しています。これはある意味当たり前なのですが、小学生には少し難しい場合があります。親としてはどれも大切であり、どれもわが子に身に付けてほしいものだと感じますよね。

子どもの宿題を見る際のゴール設定の見直しを

この時間の感覚やゴールの設定が、少しかみ合わないときに、子どもたちは嫌がったり、反抗したり、やる気をなくしたり、ふてくされたりするのだと思います。


問題の解決はなかなか難しいですが、保護者の考える「ゴール」を少し減らし、宿題を始める前に「ゴール」のすり合わせをしておくことがよいと思います。小学校の低学年にはまだ難しいかもしれませんが、日々の積み重ねや親子のコミュニケーションなどを通じて、ゴールの設定を変えたり、下げたり、時には高くしたりして、子どもに合った宿題の形ややり方を一緒に考えてみてほしいです。その繰り返しが、学習の習慣となり学力につながると思います。

目の前の子どもに合わせたゴール設定で宿題を見守りましょう

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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