水泳が苦手な子必見!実は「陸での運動遊び」が大切だった?

こんにちは!オンライン運動教室「へやすぽアシスト」で、これまで1000人以上のお子さんの運動や発達をサポートしてきた理学療法士のまさやコーチです。過去には東京2020パラリンピックで車椅子フェンシング ベラルーシ代表選手のサポートも行ってきました。
夏が近づくと、「顔を水につけるのを嫌がる」「水泳の授業が始まると不安そう」「何度練習しても、なかなか泳げるようにならない」そんなご相談をいただくことが増えてきます。
今回の記事では、水泳が苦手なお子さんにとって、なぜ「泳ぐ練習だけ」では難しいことがあるのか、そして「陸での運動遊び」がどう水泳につながるのかについてお話しします。少しでも、お子さんの「苦手」の見方が広がるヒントになればうれしいです。ぜひ最後までご覧ください。
水泳は、実はとても複雑な運動
親御さんとしては、「もっと泳ぐ練習をしたほうがいいのかな?」と考えることもあると思います。もちろん、水に慣れることや、実際に泳ぐ経験はとても大切です。ですが、水泳が苦手なお子さんの中には、「泳ぐ練習だけ」ではなかなか上達しにくい子もいます。実は水泳には、体のさまざまな力を同時に使う土台が必要だからです。
たとえば水泳では、
- 姿勢を保つ
- 呼吸を切り替える
- 左右の手足を別々に動かす
- 力を入れる/抜くを調整する
など、多くのことを同時に行っています。
大人から見ると自然に見える泳ぎも、子どもにとってはとても複雑な運動なのです。そのため、「バタ足をすると沈んでしまう」「呼吸になると止まってしまう」「手と足が一緒に動いてしまう」「顔をつけるだけで緊張してしまう」といったことが起きやすくなります。
だからこそ、「泳げない=努力不足」と考えるのではなく、「まだ体の土台を育てている途中」という見方もとても大切です。(発達のピラミッドについて:https://enfant.media/health/128208/)

「顔を水につけられない」のは、怖さだけじゃない?
水泳が苦手なお子さんの中には、水そのものへの恐怖だけではなく、「感覚の受け取り方」が関係していることもあります。たとえば、
- 顔に水がかかるのが苦手
- 息がしづらくなる感じに不安を感じる
- 水の中で自分の体の向きがわかりづらい
- 浮いている感覚が怖い
など、子どもによって感じ方はさまざまです。
また、水泳では「呼吸を止める」「息を吐く」「顔を上げて吸う」といった呼吸の切り替えも必要になります。こうしたことを、手足の動きと同時に行う必要があるため、特に不器用さを感じやすいお子さんにとっては、かなり難易度の高い活動になることがあります。
そのため、「やる気がない」「怖がり」と捉えるだけではなく、「今の体や感覚ではまだ難しい部分があるのかもしれない」という視点で見ていくことも大切です。
どうして「泳ぐ練習だけ」では難しいことがあるの?
親御さんとしては、「水泳が苦手なら、たくさん泳ぐ練習をしたほうがいいんじゃないの?」と思うこともあると思います。
もちろん、水に慣れることや実際に泳ぐ経験はとても大切です。ですが、お子さんによっては、「泳ぐことそのもの」の難易度が高すぎて、体をうまく学習しにくくなっていることがあります。特に、水が苦手なお子さんや、不器用さを感じやすいお子さんの場合は、「水に入るだけで緊張している」ことも少なくありません。その状態では、「手をこう動かしてね」と説明されても、頭や体に入りづらくなってしまいます。

また、水の中では足がつかなかったり、呼吸が制限されたりすることで、子ども自身が「自分の体をコントロールしている感覚」をつかみにくくなることもあります。だからこそ、まずは陸上の運動遊びの中で水泳に必要な経験を積み重ねていくことが重要です。
陸上であれば、子ども自身も安心した状態で取り組みやすく、「できた!」という成功体験も積みやすくなります。さらに、遊びの中では自然と繰り返し練習できるため、体の使い方も身につきやすくなります。実際に、
- ジャンプ遊びでリズム感が育った
- 四つ這い遊びで姿勢が安定してきた
- 縄跳び練習で手足を動かすのが上手になってきた
など、水泳の動きがスムーズになっていくお子さんをたくさんみてきました。だからこそ、水泳が苦手なお子さんほど、「泳ぐ練習だけを頑張る」のではなく、まずは陸上でたくさん遊びながら「体の土台」を育てていく視点も大切なんです。
どうして「陸での運動遊び」が水泳につながるの?
ここで大切になるのが、「遊びの中で体を動かす経験」です。
子どもは、「練習」として繰り返すよりも、楽しく遊びながら体を動かすほうが、自然と体の使い方を学びやすいことがあります。特に、水泳につながる力は、実は日常のさまざまな遊びの中にもたくさん含まれています。
たとえば、
- ジャンプをする
- 転がる
- バランスをとる
- タイミングを合わせる
- 体をひねる
- リズムよく動く
といった動きは、姿勢づくりや体のコントロールにつながっていきます。
また、風船遊びやボール遊びのように「目で見ながら体を動かす」経験は、水泳で必要になるタイミングの調整にもつながります。さらに、遊びの中では、「できた!」「もう一回やりたい!」という気持ちが生まれやすく、自然と繰り返し体を動かす経験につながることも大切なポイントです。
水泳が苦手なお子さんの場合、「泳ぐこと」そのものに苦手意識が強くなっていることもあります。だからこそ、まずは安心できる環境でたくさん体を動かし、「自分の体を思い通りに動かせる感覚」を育てていくことが、水泳への自信につながることも少なくありません。
水泳につながる!おうちでできる3つの運動遊び
ここでは、水泳の土台づくりにつながる運動遊びをいくつかご紹介します。
1つ目は、「素早くティッシュキャッチ」

この運動では、水泳に必要な体幹を安定させながら手足を動かす練習に繋がります。
水泳では水の中で腕や足を動かしても大きく姿勢を崩さない力が大切になります。遊びながら、そんな「体を支えながら動かす力」を育てていきましょう!
ティッシュは、2枚組の状態で難しい場合は、1枚に分けて行うこともおすすめです。
2つ目は、「バランスボールチャレンジ」

この運動では、姿勢を真っ直ぐに保つために必要な背中側の体の使い方を意識しやすくなります。
バランスボールに沿って体を反らせる事で自分の体をどれくらい動かせばボールをキャッチできるか、など自分の動きをイメージしながら体を動かす練習になります。
3つ目は、「蜘蛛de風船ポンポン」

体幹を楽しみながら鍛えられる運動です!
この運動では手足でしっかり体を支えながら風船に合わせて体を動かす事で、タイミングよく手足を動かす練習などに繋がります。
また、クロールやバタ足に必要な「自分の体をイメージしながら動かす力」を育てる事ができます。
できないのではなく「育っている途中」
水泳が苦手なお子さんを見ると、
「このままで大丈夫かな…」「みんなできているのに、うちの子だけ…」と、不安になることもあると思います。特に学校の水泳授業や習い事では、まわりのお子さんと比べる場面も増えやすく、親御さん自身も焦る気持ちになることがありますよね。でも、浮く、呼吸する、タイミングを合わせる、姿勢を保つというのは、子どもにとって決して簡単なことではありません。水の中では、大人が思っている以上にたくさんの感覚や体のコントロールが必要になります。
だからこそ、「頑張りが足りない」のではなく、「今はまだ、その力を育てている途中」なのかもしれません。また、水泳は「急にできるようになる」というよりも、
- 顔をつけられるようになった
- 少し力を抜けるようになった
- バタ足が続くようになった
- 水への不安が減ってきた
など、小さな積み重ねの中で少しずつ変化していくことが多いです。
だからこそ、「泳げるかどうか」だけで見るのではなく、「昨日より安心して取り組めているかな」「少し体を動かしやすくなってきたかな」といった変化にも目を向けてあげてほしいと思います。そして、泳ぐ練習だけで頑張り続けるのではなく、陸上でたくさん遊びながら、「体を動かすって楽しい」「できた!」という経験を積み重ねていくことも、とても大切です。泳げないのではなく、まだ育っている途中です。
そんな視点で見守っていけると、お子さん自身も少しずつ安心しながら、水泳に向き合いやすくなっていくかもしれません。
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ライター
「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士 まさやコーチ
これまで1000人以上の子どもを対象に、延べ3000回以上の運動・発達支援を実施。特に、発達が気になる子どもや運動が苦手な子どもへのサポートに力を入れ、「できた!」という成功体験を積み重ねる指導を大切にしている。
東京パラリンピックではドイツ・ベラルーシ代表選手のトレーナーを務めるなど国際的な経験も持つ一方、現在はオンライン運動・発達支援サービス「へやすぽアシスト」の代表コーチとして、レッスンを通じて、全国の親子に「遊びながら育つ運動の楽しさ」を届けている。 株式会社フレーベル館の月刊保育絵本『キンダーブック2』(3・4歳児向け)で運動あそびコーナーを監修。さらに2025年4月号からは、明治図書出版『特別支援教育の実践情報』にて、「学びの土台を育む運動あそび」の1年間の連載を担当。




























