『不器用さ』は性格ではない! 遊びながら育てられる子どもの体と感覚

こんにちは!
オンライン運動教室「へやすぽアシスト」で、これまで1000人以上のお子さんの運動や発達をサポートしてきた理学療法士のまさやコーチです。過去には東京2020パラリンピックで車椅子フェンシング ベラルーシ代表選手のサポートも行ってきました。
「うちの子、なんだか不器用で……」そんなふうに感じたことはありませんか。
・靴をはくのに時間がかかる。
・ボール遊びが苦手。
・字を書くとすぐ疲れる。
・力加減がむずかしくて、折り紙を破ってしまったり、鉛筆が濃すぎたり薄すぎたりする。
こうした様子を見ると、つい「もっと落ち着いてやればできるのに」「練習が足りないのかな」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも実は、子どもの“不器用さ”は、やる気や性格の問題ではなく、体と感覚の土台の育ち方が関係していることがあります。
不器用さの正体は「感覚の育ち」にある
私たちは何か動作をするとき、ただ手足を動かしているわけではありません。たとえば、字を書くときにも、
- 座った姿勢を保つ
- 紙を目で見る
- 手をねらった位置に動かす
- 力を入れすぎず、抜きすぎず書く
といった、たくさんの力を同時に使っています。つまり「字を書く」「ボタンをとめる」「ボールを投げる」といった行動は、どれも体の土台が安定していてこそできることなのです。
子どもの発達は、感覚の土台 → 姿勢・バランス → 体を協調して動かす力 → 学習・情緒・社会性
という積み重ねで育っていきます。
(発達のピラミッドについて:https://enfant.media/health/128208/)

この土台の部分がまだ不安定だと、その上にある「集中する」「字を書く」「先生の話を聞きながら座る」といった力も発揮しにくくなります。
ここで大切なのは、できないのは怠けているからではない、という見方です。本人はがんばっていても、そもそも体をうまく使うための準備が追いついていないことがあります。
「姿勢を保つだけで精いっぱい」の子もいる
これは親御さんにとって、特に驚きの大きいポイントかもしれません。姿勢はあまり意識されてない状態でも維持できるようにならないと、脳のエネルギーが姿勢維持に多く使われてしまい、学習や手先の操作にまで余裕が回りにくくなることもあります。

たとえば、
- すぐに机に突っ伏してしまう
- 座っていると体がぐにゃぐにゃ動く
- 板書だけで疲れてしまう
- 話を聞きながら作業するのが難しい
こうした様子の背景には、意欲の問題ではなく、「座っているだけ」でかなりの頑張りを使っている可能性があります。親から見ると「集中していない」に見えても、子どもの体の中では別の大仕事が起きているのです。
不器用さには3つのタイプがある
不器用と一言で言っても一概に同じではなく、3つのタイプがあるんです。
1. 力加減・距離感がむずかしいタイプ
このタイプの子は、
・鉛筆の力が強すぎる・弱すぎる
・物にぶつかりやすい
・ボールの距離感がつかみにくい
・手先が雑に見えやすい
といった様子が見られやすかったりします。
2. バランスや重力の変化が苦手なタイプ
このタイプの子は、
・体がぐらつきやすい
・ブランコや揺れを怖がる、または逆に強く求める
・椅子で姿勢を保ちにくい
こうした子は、バランス感覚の土台に課題があることがあります。
3. 目と体を合わせて動かすのが苦手なタイプ
このタイプの子は、
・板書に時間がかかる
・食べこぼしが多い
・はさみやキャッチボールが苦手
・見たものをその通りに手で表すのがむずかしい
このタイプは、「見た情報」と「動き」をつなげる力に苦手感があります。
不器用さをサポート!おうちでできる3つの運動遊び
ここでタイプ別におすすめの運動を紹介させていただきます。
力加減・距離感がむずかしいタイプの子には、「ボール運び遊び」

この運動を実施することで、色んな体の場所を力を調整しながら使う感覚を養うことができます。
最初はボールを落としても問題ありません。ボールに伝わる力を感じながら相手に合わせようとする経験が力加減をコントロールする力を養います。
バランスや重力の変化が苦手なタイプの子には、「フープでターン」

この運動では、フープの中から出ないようにバランスをとろうとしたり、紙コップととる時にしゃがむを運動をすることで、自分の姿勢をどのように維持するかを感じとる練習になります。
目と体を合わせて動かすのが苦手なタイプの子には、「風船スティック」

この運動では、動いている風船に対して、スティックを動かすことで、目で追っているものに合わせて体を動かす練習になります。風船は軽く、小さい時から楽しみながらチャレンジできます。
「叱る」より先に、「見立てる」ことが大切
ここまで読むと、親として少しホッとする方もいるかもしれません。
不器用さがあると、「ちゃんと持って」「もっと丁寧に」「なんでいつもぶつかるの」と声をかけたくなることがあります。でも、これまでの記事でもお伝えしてきたように抽象的な注意よりも、具体的でわかりやすいサポートの方が子どもには届きやすいということです。
たとえば、
「ちゃんとして」ではなく「いすに深く座ってみようか」
「気をつけて」ではなく「コップは両手で持ってみよう」
「丁寧に」ではなく「この線の中にゆっくり置いてみよう」
というように、子どもが何をすればいいか見える声かけに変えるだけでも、受け取りやすさは変わります。実際に、へやすぽアシストで見ていた小学2年生のお子様は感覚を育てる運動や環境調整を続けた結果、
- 姿勢が安定してきた
- 板書がしやすくなった
- 力加減が改善した
- 集中しやすくなった
- 縄跳びなどの動きも変わってきた
という変化が見られました。もちろん、すぐにすべてが変わるわけではありません。
でも、「ただ不器用な子」ではなく、育てるべき土台が見えてくると、関わり方は大きく変わります。
親御さんにいちばん伝えたいこと
子どもの不器用さは、責めるポイントではなく、体からのサインかもしれません。「まだできない」ではなく、「今は土台を育てている途中なんだ」と見られるようになると、親の声かけも、子どもの受け止め方も少しずつ変わっていきます。
そして何より大事なのは、不器用さは性格ではないこと、そして育ち方を知れば、支え方が見えてくることです。「なんでできないの?」が、「そういう理由があったんだ」に変わるだけで、親子の毎日は少しやさしくなります。
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ライター
「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士 まさやコーチ
これまで1000人以上の子どもを対象に、延べ3000回以上の運動・発達支援を実施。特に、発達が気になる子どもや運動が苦手な子どもへのサポートに力を入れ、「できた!」という成功体験を積み重ねる指導を大切にしている。
東京パラリンピックではドイツ・ベラルーシ代表選手のトレーナーを務めるなど国際的な経験も持つ一方、現在はオンライン運動・発達支援サービス「へやすぽアシスト」の代表コーチとして、レッスンを通じて、全国の親子に「遊びながら育つ運動の楽しさ」を届けている。 株式会社フレーベル館の月刊保育絵本『キンダーブック2』(3・4歳児向け)で運動あそびコーナーを監修。さらに2025年4月号からは、明治図書出版『特別支援教育の実践情報』にて、「学びの土台を育む運動あそび」の1年間の連載を担当。




























