「うちの子、集団行動が苦手で…」運動会や行事を見守るのが不安でも、集団参加しやすくなる運動遊び

「うちの子、集団行動が苦手で…」運動会や行事を見守るのが不安でも、集団参加しやすくなる運動遊び

こんにちは!
オンライン運動教室「へやすぽアシスト」で、これまで1000人以上のお子さんの運動や発達をサポートしてきた理学療法士のまさやコーチです。過去には東京2020パラリンピックで車椅子フェンシング ベラルーシ代表選手のサポートも行ってきました。
今回の記事では、運動会や行事で感じやすい「子どもの集団行動」についてお話しします。少しでも安心して見守れるヒントになればうれしいです。ぜひ最後までご覧ください。

「うちの子だけ…」と感じたことはありませんか?

  • 「うちの子、みんなと並ぶのが苦手で…」
  • 「運動会の練習が始まると、毎年そわそわしてしまう」
  • 「発表会や遠足でも、うちの子だけ落ち着かない気がする…」

そんなふうに感じたことのある親御さんは、決して少なくないと思います。運動会、発表会、遠足、朝の会。子どもたちは園や学校で、思っている以上にたくさんの集団行動を経験しています。大人から見ると当たり前に見える「並ぶ」「待つ」「合図で動く」といったことも、子どもにとっては実はとても高度な力が必要なんです。
だからこそ、集団行動が苦手に見えるからといって、すぐに「わがままなのかな」「落ち着きがないのかな」と考えなくて大丈夫です。

その背景には、まだ育ち途中の体の土台が関係していることもあるからです。
「発達の土台」の整え方については、前回の記事で詳しく紹介しています。 

発達のピラミッド

「集団行動が苦手=わがまま」ではありません

たとえば「並ぶ」だけでも、子どもはたくさんのことを同時に行っています。

  • 自分の立つ場所を確認する
  • 前のお友達との距離を保つ
  • 姿勢を保ちながら待つ
  • 先生の声を聞く
  • まわりの動きを見て、同じように動く

そして、急に走り出したい気持ちや、気になるものに向かいたい気持ちを少し抑える。こうして見ると、集団行動は単なる「気持ちの問題」ではないことがわかると思います。むしろ、体の使い方、感覚の受け取り方、注意の向け方、切り替えの力など、いろいろな土台が重なってできているんです。

そのため、みんなと同じように動けない場面があったとしても、それは「できるのにやらない」のではなく、「まだその力をうまく使えない状態」なのかもしれません。

どうして運動が、集団行動につながるの?

ここで大切になるのが、姿勢やバランス、体の位置感覚といった「身体の土台」です。子どもが集団の中で落ち着いて参加するためには、まず自分の体を安定して保てることが大切です。

たとえば、ふらつきやすかったり、じっと立っているだけで疲れやすかったりすると、それだけでかなりエネルギーを使ってしまいます。すると、先生の話を聞くことや、まわりを見て合わせることにまで余裕が回りにくくなります。

また、揺れやバランスを感じる感覚、体の位置や力加減を感じる感覚がまだ未熟な場合、「止まる」「待つ」「向きを変える」「合図で動き出す」といった動きも難しくなりやすいです。大人には小さなことに見えても、子どもにとっては「今どう体を使えばいいか」を毎回一生懸命調整している状態かもしれません。

さらに、集団行動には「見る力」や「まねする力」も欠かせません。先生やお友達の動きを見て、自分の体を合わせていくには、

  • 姿勢が安定していること
  • 注意を切り替えられること
  • 体をイメージしながら動かせること

といった土台が必要になります。

つまり、集団行動の困りごとは、行動だけを見て考えるよりも、もう少し下の「身体の土台」から見ていくことで、理解しやすくなります。

「集団行動」は発達のピラミッドの上段

「ちゃんとしなさい」より、まずは「見方」を変えてみる

親御さんとしては、つい「みんなできているのに、どうしてうちの子だけ…」と不安になることもあると思います。特に運動会や行事のように、集団の中での姿が見えやすい場面では、心配が強くなりやすいですよね。

でも、そんなときこそ大切なのは、「できていない行動」だけを切り取らないことです。たとえば、

  • 今日は最後まで並べなかったけれど、最初の数分は頑張れていた
  • 練習の途中で離れてしまったけれど、先生の合図には気づけていた
  • 去年より、みんなの流れに乗れる場面が増えてきた

そんなふうに、小さな変化を見つけていくと、親御さんの見え方も少しずつ変わっていきます。

集団行動は、「急にできるようになるもの」ではなく、土台が育つにつれて少しずつ安定していくものです。だからこそ、本番の1日だけで評価しすぎないことがとても大切です。

おうちでできる見守り方と声かけ

おうちでの関わりでは、まず「できないことを叱る」より、「参加しやすくするために何が必要か」を考えてみてください。たとえば、行事の前には「明日は並ぶ時間があるよ」「音楽が鳴ったら移動するよ」と、流れを短く伝えておくのもひとつです。見通しがあるだけで、不安が減って動きやすくなる子もいます。

また、「ちゃんとして」「落ち着いて」といった大きな声かけよりも、「ここに立とうね」「先生を見てみようか」「おててはおなかにして待ってみよう」など、してほしい行動を具体的に伝えるほうが、子どもにはわかりやすいことが多いです。

そして、うまくできなかった日のあとこそ、「頑張れなかったね」で終わらせず、「今日はここまでできたね」「緊張したね」「また少しずつで大丈夫だよ」と、安心につながる言葉をかけてあげてほしいと思います。親御さんのその一言が、次の参加への土台になります。

集団参加しやすくなる!おうちでできる3つの運動遊び

ここでお伝えしたいのは、「運動ができれば集団行動も全部解決する」ということではありません。ただ、姿勢、バランス、体の位置感覚、注意の切り替え、まねする力といった土台は、運動遊びの中で育てやすい部分です。

特に、子どもは「練習」として取り組むより、「遊び」の中で体を動かすほうが自然に力を伸ばしやすいです。ジャンプする、止まる、方向を変える、揺れる、押す、引く、ぶら下がる、くぐる、こうした動きの中に、集団参加につながるヒントがたくさん含まれています。

集団行動を「その場で頑張らせる」だけでは、親子ともに苦しくなってしまうことがあります。だからこそ、普段から遊びの中で体の土台を育てておくことが大切です。ここでは、集団参加しやすい体づくりにつながる運動遊びをいくつかご紹介します。

1つ目は、「バランスゲーム」

この運動ではバランスをとるために必要な前庭覚(揺れや傾きを感じる感覚)を育てる遊びです。自分の体を安定させる力につながり、「じっと立つ」「待つ」といった場面でも落ち着きやすくなります。また、大人の動きに合わせて体を動かすことが協調性を育てるのに繋がります。

「バランスゲーム」の紹介はこちら

2つ目は、「二人で風船ポンポン」

動いている風船の動きに合わせて親子で一緒に体を動かすことで、協調性を育み、力加減などをコントロールする感覚が身につきます。また、風船をみながら動くことで人との距離感を掴めるようになってきます。

「二人で風船ポンポン」の紹介はこちら

3つ目は、「ボールに合わせて」

大人の動きに合わせて体を動かすことで、「合図で動く」「動きをまねする」といった力が育ちます。また、運動の中でジャンプをすることで力加減やバランス感覚を養うのにも繋がります。

「ボールに合わせて」の紹介はこちら

できないのではなく、育っている途中

集団行動が苦手なお子さんを見ると、親御さんはつい焦ってしまうものです。でも、並ぶ、待つ、合わせる、切り替えるといった力は、もともと子どもにとって簡単なことではありません。その子なりのペースで、感覚の土台が育ち、姿勢が安定し、体の使い方が上手になっていく中で、少しずつ参加しやすくなっていくこともたくさんあります。

大切なのは、「どうしてできないの?」と責めることではなく、「この子が参加しやすくなるためには、どんな土台が必要かな?」と見方を変えていくことです。運動会や行事は、できる・できないを比べる場ではなく、お子さんの「今の育ち」を見つめる機会でもあります。もし不安になる日があっても、「うちの子だけ」と思わなくて大丈夫です。できないことではなく、育っている途中。そんな目で見守っていけると、親子ともに少し気持ちが楽になるはずです。

ライター

「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士まさやコーチの画像

「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士 まさやコーチ

これまで1000人以上の子どもを対象に、延べ3000回以上の運動・発達支援を実施。特に、発達が気になる子どもや運動が苦手な子どもへのサポートに力を入れ、「できた!」という成功体験を積み重ねる指導を大切にしている。
東京パラリンピックではドイツ・ベラルーシ代表選手のトレーナーを務めるなど国際的な経験も持つ一方、現在はオンライン運動・発達支援サービス「へやすぽアシスト」の代表コーチとして、レッスンを通じて、全国の親子に「遊びながら育つ運動の楽しさ」を届けている。 株式会社フレーベル館の月刊保育絵本『キンダーブック2』(3・4歳児向け)で運動あそびコーナーを監修。さらに2025年4月号からは、明治図書出版『特別支援教育の実践情報』にて、「学びの土台を育む運動あそび」の1年間の連載を担当。

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