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「ヒヤリハット」の共有が安全な製品開発につながる!保護者の本音とメーカーをつなぐプラットフォーム「Safe Kids」

日常のふとした瞬間に起こる、子どものケガや思わぬ事故。予防したい思いはあっても、溢れる情報の中から何を信じ、どう対策すればよいか悩む保護者も少なくありません。そんな子育て家庭の不安に寄り添い、事故防止を目指すプラットフォーム「Safe Kids」を知っていますか?今回は、運営を担うNPO法人Safe Kids Japan理事長、大野美喜子さんと、立ち上げに携わり、運営をサポートする東京都の担当者に、サイト開設の背景や工夫、4月にスタートした新たな取り組みについてお話を伺いました。
「繰り返す事故」をなくしたい!デジタルプラットフォーム誕生の舞台裏
――子どもたちの安全を守る多様なアプローチがあるなか、なぜWebサイトでの発信やツール展開という形の取り組みをスタートされたのでしょうか
東京都:東京都生活文化局消費生活部生活安全課では、製品事故から消費者を守る啓発活動を行っています。近年、大ケガにつながる重大な製品事故は減少傾向にあるものの、0~6歳を中心とした子どもの日常生活における事故は依然として多く発生しています。また、行政が事故情報や注意喚起を発信しても、生活者やメーカーに十分に届かず、同じ事故が繰り返されてしまうという課題がありました。
そこで、行政だけでなく、事業者や消費者も一緒に情報を共有し、安全意識を高める場が必要ではないかという議論がなされました。特に子育て世代へ効率的に情報を届けるには、紙媒体だけでなくデジタルプラットフォームが有効であると考え、以前から子どもの事故予防で連携していた「Safe Kids Japan」にお声がけし、立ち上げることになりました。
大野さん:東京都は全国的にも珍しく、ボタン電池の誤飲や抱っこひもからの転落など、子どもの製品事故にテーマを絞って一つひとつ検証と提言を重ねてきた実績があります。重大事故を防ぐためにも、消費者への情報発信はとても重要なことですから、このような情報発信をテーマにしたポータルサイトを立ち上げたらよいのではないかという話になりました。事故予防の専門知見を持つ私たちの法人と、都の持つ発信力を掛け合わせ、2023年2月にデジタルプラットフォーム「Safe Kids」を開設しました。
リアルな声が安全な製品づくりに直結!メーカーとの架け橋としての役割と「忍者」のヒミツ
――「Safe Kids」のページ制作にあたって、特にこだわった点や、情報の伝え方で工夫した点を教えてください
大野さん:サイトの大きな特徴は2つあります。1つ目は、保護者の方々から事故や「ヒヤリハット」の事例、悩みなどの体験談を集める投稿ページです。保護者の方同士が、日常に潜むヒヤリハットを共有することも目的ですが、保護者の生の声をメーカーに届ける役割もあるんです。
子どもの事故は製品が関わっていることが多いのですが、実は事故の事実や状況の詳細について、メーカー側が把握できていないケースが多々あるんです。
そこで「Safe Kids」は消費者の声を拾い上げ、事業者へ届けることで、子どもの安全に配慮した製品開発(キッズデザイン)へつなげるかけ橋としての役割を担っています。「Safe Kids Japan」では実際に寄せられた情報をメーカーと共有し、検証するといった活動も並行して行っているんですよ。
もう1つこだわっているのが「安全グッズを紹介するページ」です。最近ではさまざまな情報が飛び交い、子育てに追われる保護者の方は、安全な製品を探すだけでも手間や時間がかかりますよね。「どんな商品を選べばいいかわからない」「どういう基準で選べば良いのかわからない」という悩みに応えるため、安全基準を満たした安心できる製品をまとめて紹介しています。
迷ったらこのページに掲載されている情報を参考にして購入する商品を決める、というふうに活用されるとうれしいですね。
東京都:サイト構築にあたっては、学識経験者や消費者団体の方々から意見をいただいたほか、リリース前にはユーザー向けのWebアンケートも実施しました。スマートフォンでの閲覧に合わせた縦画面での見やすさや、事故情報の投稿フォームへ迷わずたどり着ける導線設計、堅苦しくなりすぎない親しみやすい色使いなど、生活者の目線に立った使い勝手を追求しました。
大野さん:ちなみにサイト内に登場する「忍者」のキャラクターは、将来的に日本の優れたキッズデザインの考え方や環境改善のアプローチを海外へアピールする際、日本らしさを伝える狙いで導入したものです。
日本は真面目な国民性もあり、わずかな情報からもきめ細かく分析して子どもの安全に生かした製品や、海外にはない視点で、安全性を高めた製品が数多く存在します。「キッズデザイン」という考え方も実は日本発信のものなんですよ。
そんな日本の魅力を、国際的に発信することを見据えたキャラクターデザインになっています。

行政とNPOのタッグで届ける「高い信頼性」と「タイムリーな注意喚起」
――この取り組みは東京都が起点として立ち上げ、現在は「Safe Kids事務局」が運営を担っています。現在の運営体制における東京都の、具体的な関わりやサポートについてお聞かせください
大野さん:プラットフォームの運営やコンテンツの更新は、私たちSafe Kids Japan(Safe Kids事務局)が中心となって行っています。行政と連携しているという点は、保護者の方々にとって大きな安心感につながります。インターネット上にはさまざまな情報がありますが、都が関わっているプラットフォームだからこそ「信頼できる情報源」として活用していただけていると感じます。
東京都:開設当初の2年間は、サイトの周知やSNSの登録促進を目的としたチラシ・ステッカーの作成、イベントでのPRなどを中心に行いました。現在は、サイト内にある「東京都からのお知らせ」のコーナーを通じて、製品事故に関する注意喚起や季節に合わせた安全情報(水辺のレジャーの注意点など)、イベントや講演のお知らせを定期的に発信・掲載する形で連携を継続しています。
完璧じゃなくて大丈夫!保護者の「本音」が集まる場所に
――このサイトを子育て家庭や教育関係者にどのように活用してほしいか、今後の展望についてお聞かせください
大野さん:忙しい日常の中で、完璧な事故予防を24時間体制で継続するのは難しいものです。「気をつけて」と言われても「なかなかできない」と感じる瞬間は誰にでもありますよね。サイトにはそうした保護者の方のリアルな本音や、「こんな製品があったらいいのに」という要望も気兼ねなく寄せてほしいと考えています。
例えば子どもたちとお風呂に入る際、自分の体を洗っている間、小さな子どもをどこに待機させればいいのか悩んだ経験のある方は少なくないと思うんです。そういう些細な悩みがメーカーに届けば、新しい製品の開発につながることもあるんですよね。
また、重大事故だけではなく「危なかったけどギリギリのところで事故を防げた」というエピソードも寄せていただき、情報を共有できる場になるのが理想だと考えています。
先ほどの、お風呂で子どもをどこにいさせるのか問題で、浴槽のフタの上に寝かせて落下してしまうというケースがあります。これはメーカーの問題や製品を使用する上での事故ではないですが、そういう実例がたくさん集まれば「私もそうしてたけど、危険なんだ」いう気づきにつなげられると思うんです。そんなふうに、保護者の方同士で、この行動は危なかったとか、こういう方法があるよとか、日常生活の些細な情報を共有できる場所になるのが理想ですね。
――このような話題はSNSでは気軽に発信しにくいと感じる方も少なくないですから、気兼ねなく体験談を共有できる場というのは貴重かもしれないですね
大野さん:そうですね。浴槽のフタに一時的に子どもを乗せるというような行動が危険な行為であるということは、行政も情報発信をしていますが、なかなかそれが直接保護者に響くかというと難しい面もあります。
だからこそ、もっと気楽に、保護者同士の情報共有ができるような運営ができると理想的ですね。その情報が集まってデータになれば、メーカーの製品開発にも役立つという好循環が生まれるようなサイトに育てていきたいです。
2026年4月には新たに「セーフキッズマイスター制度」をスタートさせました。子ども家庭支援センターや子育て広場の職員さんなどにマイスターになっていただき、保護者の方との日常会話の中で、「この安全グッズがおすすめですよ」と具体的にサイトを活用して提案できる仕組みづくりも進めています。
一人で抱え込まず、みんなで事故を防ぐ「安心の拠点」を目指して
――最後に、子育てに奮闘する読者に向けてメッセージをお願いいたします
東京都:保護者の方々の経験を、広く今後に生かすためにも、ぜひこのサイトにリアルな経験を投稿していただけるとうれしいですね。また季節に合わせて、行政や専門家からリアルタイムな注意喚起も掲載していますから、ぜひそういう情報に触れる機会も増やしていただけるといいなと思います。
大野さん:子どもの事故は身近で切実な問題ですが、幸いにも事故に至らなかった「ヒヤリハット」は、保護者同士で共有することで「私も気をつけよう」とお互いを守る貴重な情報になります。失敗や困りごとを一人で抱え込まず、みんなで情報共有できる温かい場にしていきたいですね。
「Safe Kids」が、子育て世帯の貴重な体験談を共有し、メーカーとともに安全な暮らしを支える安心の拠点となれるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
まとめ
「Safe Kids」を活用することで、「ヒヤッとした」「子育て中にこんな対策グッズがあったらいいのに」という何気ない気づきや本音が、将来の事故防止につながり、新しい安全製品を生み出す一歩につながるかもしれません。不安や困りごとを一人で抱え込まず、「みんなで安全な子育て環境をつくる仲間」という気持ちで、ぜひ利用してみてくださいね。
企画・編集/&あんふぁん編集部、取材・文/山田朋子

























