子どもの「落ち着かない」の背景とは? 感覚と発達の土台を考える

子どもの「落ち着かない」の背景とは? 感覚と発達の土台を考える

子どもを見ていると、「どうしてこんなに同じ遊びを繰り返すんだろう」「こんな遊び、意味あるのかな?」そんな風に感じること、ありませんか。けれど実は、遊びの中で子どもは、将来の学びや人間関係を支える、とても大切な力を育てています。今回は、子どもの行動から見える「生きる力の土台」について考えてみたいと思います。

「行動の前に『感じる・整う』がある」

私たちはつい、子どもの「行動」に目を向けがちです。

  • 落ち着きがない
  • 集中できない
  • 姿勢が崩れる
  • すぐにイライラする

しかし、その行動の背景には「見えない土台」があります。
今回は、「発達のピラミッド」や「感覚統合(触覚や前庭感覚など、身体や周囲の情報を感覚を通して整理し、適切な行動につなげる働き)」という視点から、行動を支える土台について考えてみます。

「行動」を支える「感覚」や「認知」

子どもの行動は、海の上に見えている氷山の一部のようなものです。

その下には、次のような目には見えにくい要素が隠れていることがあります。

  • 感覚の感じ方
  • 情報処理の状態
  • 身体の調整
  • 心身の疲れや緊張

例えば、「じっと座っていられない」という姿の背景には、次のような感覚特性が隠れていることもあります。

  • 体の状態を感じにくい
  • 周囲の刺激が気になりやすい

その場合、「ちゃんと座って!」と注意するだけでは改善が難しいかもしれません。
むしろ、刺激を減らす工夫をしたり、相撲やブランコなどの体を使った遊びをしたりする方が役立つことがあります。

感覚や認知の土台が不安定なときに見られる姿

感覚や身体の土台が不安定なときには、次のような姿が見られることがあります。

  • 姿勢が崩れやすい
  • 音や光に敏感
  • 集中が続かない
  • 感情が不安定
  • 必要以上に触りたがる、または嫌がる

こうした行動は、「性格」や「しつけ」だけの問題ではなく、「できない状態」なのかもしれません。

「感覚から支える」という視点

ここで大切なのは、行動だけでなく、その背景にある状態を見ることです。
この考え方の一つが「感覚統合」です。

  • 揺れる
  • 押す/引く
  • 包まれる
  • リズムを感じる

といった遊びや動きを通して、子どもは身体と感覚を整えていきます。
日常の遊びそのものが、感覚調整(刺激への反応を調節して、活動しやすい状態を保つ働き)につながることも少なくありません。

今日からできるポイント

「行動」ではなく「状態」を見る

  • 落ち着きがない → 緊張していないか?
  • 集中できない → 姿勢は安定しているか?
  • イライラしやすい → 刺激が多すぎないか?

「なぜその行動をしているのか?」を考える

  • 揺れる → 落ち着こうとしている?
  • ぶつかる → 強い刺激を求めている?
  • イライラしやすい → 刺激が多すぎないか?

行動は、「困らせるため」ではなく、自分を調整する手段である場合もあります。

おわりに

子どもの育ちを考えるとき、

「どう行動させるか」

だけではなく、

「どんな状態でいられるか」

を見ることが大切です。
安定した身体や安心できる感覚が、集中・学習・社会性・自己調整の土台になります。

もし気になる行動があるときは、ぜひ「その下の層」にも目を向けてみてください。
次回は、感覚と運動の関係について、もう少しくわしくご紹介します。

【参考になる情報】
「感覚統合の発達と支援 子どもの隠れたつまずきを理解する」A・ジーン・エアーズ 著/岩永竜一郎 監修・訳、古賀祥子 訳(金子書房)

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担当カテゴリー

子どもの健康・発達

アスレティックトレーナー 広瀬統一

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専門はアスレティックトレーニング、トレーニング科学ほか。1974年生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科で博士課程修了(学術博士)。早稲田大学にて教鞭をとるかたわら、Jリーグユースチームやサッカー女子日本代表チームのフィジカルコーチを歴任。著書に「女子の体幹レッスン」「大人女子の体幹ストレッチ」(いずれも学研プラス)などがある。

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