「手足が冷たいから、もう1枚」はちょっと待って。冬の夜、赤ちゃんの寒さを見分けるポイント

寝ている赤ちゃんの手を触ったら、ひんやり冷たい。足も冷たい。
「寒かったかな?」「もう1枚着せた方がいいかな?」と、慌ててパジャマを重ねたり、お布団をかけたりしたくなりますよね。大切な我が子だから、風邪を引かせたくないというのは当然のこと。
でも実は、手足が冷たいからといって、赤ちゃんが寒がっているとは限らないのです。
手足だけを触って「まだ冷たいからもう1枚」と足していくうちに、服の中は暑くなってしまっていることがあります。暑いと気持ちよく眠れず、夜中に目が覚めたり、ごろごろ動いて落ち着かなくなったりするだけでなく、危険な状況にさせてしまうことも。
今回の記事では乳幼児睡眠の専門家の立場から、赤ちゃんが寒いのか暑いのかを「どこを見て、何を確かめて」判断するのか、そして冬に気をつけたい温め方を解説します。
手足ではなく、胸・お腹・首の後ろを触ろう
冬になると「手足が冷たいのですが大丈夫ですか?」というご相談をよくいただきます。結論から言えば、手足が冷たいこと自体は心配しなくて大丈夫です。
手や足は触りやすいので、つい手足で判断したくなりますよね。そしてひんやりしていると、焦ってしまうかもしれません。ですが、手足の温度と、胸やお腹の温かさは同じではありません。
私たちの体は、皮膚の近くを流れる血液の量を変えることで、熱を逃がしたり、逃がしすぎないようにしたりしています。寒いときは手足の血管を縮めて、体の中心の温かさを守ろうとする働きもあります。そのため、手足が冷たく感じても、それだけで「体全体が冷えている」とは判断できないのです。
では、どこを触ればいいのかというと、体幹の部分です。服の中に手を入れて、胸やお腹、首の後ろあたりを確かめてみてください。手はひんやりしているけれど、胸やお腹はほどよく温かい。そんなときは、手を温めるためだけに着せ足す必要はありません。逆に、体の方まで冷たく感じるときは、室温や服装を見直してあげてくださいね。
夜中に起きたら「暑さ」も疑おう
冬に夜中に起きると「寒かったのかな?」「もっと着せておけばよかったかな?」と考えやすいと思います。でも、起きた理由が寒さとは限りません(もちろん寒くても目が覚める原因になります)。
暖房の効いた部屋で、厚手のパジャマを着て、さらに厚手のスリーパー。これでは、赤ちゃんのまわりは十分すぎるほど温かい、ということもあります。暑くて寝苦しければ目が覚めますし、寝返りができる子なら、ごろごろ動いてなかなか落ち着かない様子が見られることもあります。
「今日はやけに動くな」「寝る場所を何度も変えているな」「寝たと思ってもすぐ起きちゃうな」というときは、寝かしつけ方だけでなく、暑くなっていないかも確かめてみてください。
中には、手は冷たいのに背中は汗でしっとりしている、というパターンもあります。ここで手だけを触って「まだ寒いんだ」と着せてしまうと、温め過ぎにつながりかねません。
もちろん、寝返りが多い理由がすべて暑さというわけではありません。寝返りを覚えてよく動く時期もありますし、ほかの理由で目が覚めることもあります。「ごろごろしている=暑い」ということではないので、あくまで一要素として疑ってみてください。
寝姿勢で寒さのサインを見よう
どんな姿勢で寝ているかも、寒さを見分ける大事なサインです。
もし寒い部屋で寝ることになったら、どんなふうに寝ると思いますか?大人でも寒い時は、体を丸めて縮こまりますよね。「寒いなあ」と思いながら、大の字で手足をのびのび広げて寝る、というのはなかなか考えにくいと思います。
赤ちゃんも同じです。縮こまって丸くなっているなら寒いのかもしれませんし、大の字でのびのび寝ているなら、寒すぎることは考えにくいでしょう。体を触る確認とあわせて、寝姿勢も見てあげてください。
0歳児には掛け布団は使わない
赤ちゃん、特に1歳未満の子には、掛け布団や毛布をかけて寝かせないでください。顔にかかって鼻や口をふさいでしまうなど、窒息の原因になります。アメリカ小児科学会でも、1歳まではやわらかい寝具を寝床に置かないよう呼びかけています。
「軽いものなら大丈夫かな」「寒い日だけならいいかな」と考えたくなるかもしれませんが、寒さの調整は、肌着やパジャマ、スリーパーなどの着るものと、暖房などの空調で行ってください。スリーパーを着せた上からさらに毛布をかける、という調整もしないでくださいね。
寝床は平らで固いものにして、まわりに枕やぬいぐるみ、余分な衣類なども置かない。寒い季節も、この安全な寝床を土台にして、服装や部屋の温度を調整してあげてください。
体を直接温め続けるものは避けよう
暑いと眠りにくい、というお話をしましたが、温めすぎは寝苦しさだけの問題ではありません。温めすぎは、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクとの関連が指摘されています。11月はこども家庭庁と厚生労働省による「SIDS対策強化月間」ですが、これはSIDSが冬に起こりやすいためです。
ただ、「1枚多く着せたらすぐに危険」という話ではありません。寒い部屋で、必要な分を着せてあげることは大切です。気をつけたいのは、「寒いといけない」と思って、服もスリーパーも暖房も、確かめずに足し続けること。そして、赤ちゃんの体を直接温め続けるような方法です。
たとえば、ホットカーペットの上で寝かせるなどは危険です。ぽかぽかして気持ちよさそうに見えるかもしれませんが、同じ場所が長く温められると低温やけどのおそれがありますし、体温が上がりすぎてしまいます。寝床をヒーターのすぐそばに置いたり、温風を直接当て続けたりするのも避けましょう。
赤ちゃんは、暑くなっても自分で「ここから離れよう」とできるとは限りません。体を直接温め続けるのではなく、服装と部屋の温度で調整するのがとても大切です。
安全で快適に冬を過ごしましょう
寒い思いをさせたくない。その気持ちは、赤ちゃんを大事に思っているからこそですよね。でも、赤ちゃんを大事にすることと、温めてあげることは別です。
ぜひ今回解説した知識も頭の片隅に覚えていただき、安全で快適に冬の夜を過ごしてくださいね。
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