乱暴に思えた子どもの行動にはワケがある! 固有覚と「自分の体がわかる感覚」

子どもを見ていると、「どうしてこんなに同じ遊びを繰り返すんだろう」「こんな遊び、意味あるのかな?」そんな風に感じること、ありませんか。けれど実は、遊びの中で子どもは、将来の学びや人間関係を支える、とても大切な力を育てています。今回は、子どもの行動から見える「生きる力の土台」の一つである「固有覚」について解説します。
力加減や姿勢はどうやって決まるの?
前回は、「前庭覚(バランス感覚)」についてお話ししました。今回は、発達の土台となるもう一つの大切な感覚である「固有覚(こゆうかく)」をご紹介します。固有覚とは、筋肉や関節からの情報によって、自分の体の位置や動き、力の入り具合を感じる感覚です。
例えば、
- 目を閉じても鼻に指を当てられる
- 後ろを見なくても椅子に座れる
- コップを落とさないように持てる
- 階段をスムーズに上り下りできる
といったことは、固有覚が働いているからできるのです。
私たちは普段あまり意識していませんが、固有覚は姿勢を保ったり、力加減を調整したり、体を上手に動かしたりするために欠かせない感覚です。また、体の状態をしっかり感じられることは、安心して落ち着いて過ごすことにもつながると考えられています。

強くぶつかる・乱暴に見える行動の背景
子どもの中には、次のような行動をする姿が見られることがあります。
- 友だちに強くぶつかる
- ドアを勢いよく閉める
- 鉛筆を強く握る
- 物を投げる力が強すぎる
大人から見ると「乱暴」「わざとやっている」と感じることもあるかもしれません。しかし、その背景には固有覚の感じ方が関係していることがあります。自分がどのくらい力を使っているのかが分かりにくいと、必要以上に強い力を使ってしまうことがあります。
上記のような行動を制限してしまうと、反対に次のような姿につながることもあります。
- 力が弱すぎる
- 姿勢が崩れやすい
- すぐに疲れる
大切なのは、行動だけを見るのではなく、その背景にある感覚の働きにも目を向けることです。
抑えるより「満たす」という視点
強く抱きつく、クッションに飛び込む、重い物を持ちたがる――こうした行動は、体にしっかりとした感覚を求めているサインかもしれません。そのため、「やめなさい」と抑えるだけでなく、「体を十分に使える機会を増やせないかな?」という視点を持つことも大切です。
おうちでできる「固有覚遊び」
固有覚は、筋肉や関節にほどよい刺激が加わることで育まれます。例えば、次のような遊びやお手伝いがおすすめです。
- 買い物袋や荷物を運ぶ
- 布団や段ボールを押したり引いたりする
- 公園の遊具によじ登る
- 綱引きをする
- クマ歩きなどの動物歩きをする
こうした活動は、体の位置や力加減を感じる力を育てるだけでなく、体をしっかり使う満足感にもつながります。大切なのは、上手にできることではなく、体をたくさん使う経験を積むことです。
おうちでこんな遊び、やってみませんか?


おわりに
私たちは、自分の体がどこにあり、どれくらい力を使っているのかを、固有覚によって感じています。この感覚は、姿勢や運動だけでなく、落ち着いて過ごしたり、人と関わったりするための土台にもなっています。
もし、「力加減を調整するのが苦手」「乱暴に見える」「姿勢が崩れやすい」と感じることがあれば、その背景にある感覚の働きにも目を向けてみてください。子どもは遊びや生活の中で、自分の体を少しずつ理解しながら成長していきます。
次回は、「違いは困りごとではなく特性」という視点から、発達の多様性について考えてみたいと思います。大人の見方が変わることで、子どもとの関わり方もきっと変わっていくはずです。
【参考になる情報】
「感覚統合の発達と支援 子どもの隠れたつまずきを理解する」A・ジーン・エアーズ 著/岩永竜一郎 監修・訳、古賀祥子 訳(金子書房)
「Be-Youプログラム絵カード」一般社団法人日本デフビーチバレーボール協会(株式会社ジャクエツ)
こころとからだの発達ラボHP(https://cocokara-labo.jp/)
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